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雨宮はすでにヘッドエモーションも頭につけている。折原が微笑を湛えたまま僕にヘッドエモーションを渡した。僕はそれを受け取るが自分の頭に装着できない。
これは直結ではない。パソコンを介しているし、両想いかどうかを測定するだけで相手の感情を共有することはしない。けれどもどうにも身体が拒絶している。
僕が戸惑っていると雨宮が察して言った。
「大丈夫? 難しい顔してるけど」
「ああ。うん。えっと」ちゃんと返事をすることができない。
「じゃあ、わたしと折原さんで試してみてもいいですか?」
折原が首肯して僕からヘッドエモーションを受け取る。僕は動けずにいる。嫌な予感がした。折原は嫌がる素振りも見せずにヘッドエモーションをつけている。
「……いや。やらなくていいよ」
「でも確かめなくちゃ」
雨宮はそう言ってゆずらない。
自分が直結まがいのことをすることはできなかったが、折原と雨宮がするのを見るのも嫌だった。
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