第一章

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 はぐらかされてしまった。  まだ知り合ったばかりなのに、つい色々知りたくなって踏み込んだ質問してしまったと僕は反省する。  情報処理室に到着し、待っていた部員たちに雨宮を紹介する。雨宮に向ける部員たちの視線に動揺が見られる。あまり目立った活動をしていない部に、いるだけで人の目を引く雨宮が加入することは、それだけで普段とは違った空気になる。  部員ひとりひとりも雨宮に簡単な自己紹介をした。総勢14人の小さな部だ。たいして時間はかからない。  それから部員たちはそれぞれの作業に戻る。  僕は二つの椅子を用意して雨宮と向かい合って座った。 「まずは僕たちESP部がどんな活動してるか知ってる?」  雨宮は少し考える仕草をする。 「ヘッドエモーションをつかったなにかだよね?」 「まあ、その通りだね。あんまり外部と関わる活動してないから認知度は低いだろうけど」  僕はそう言って近くの机の上にあった一冊の冊子を手に取った。 「一番大きな活動はこの部誌だね。これを9月の文化祭の時に色々な人に配る。内容は色んな調べたことや分析したもの、創作物が載ってる」
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