第二章

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「そのはずだけど……」そう言って確認したら僕は自分の失態に気づいた。なんということだ。折原雄矢の二股検証をしていた時の感情が好感度ランキングのフォルダに紛れ込んでいたのだ。慌てて空き教室から飛び出したから、そのあとちゃんと整理できていなかったらしい。  つまり、あの時つくったフォルダにそのまま好感度ランキングで集めた感情を入れてしまったのだ。  こんな単純なミスで五季を落ち込ませてしまった。 「ごめん。僕のせいだ」  謝っても五季の表情は変わらず、打ちのめされたボクサーのように椅子にうなだれている。 「ほんとにごめん」  元気づけるつもりが逆に落ち込ませてしまった。 「いいよいいよ」力なく五季はひらひらと手を振る。「今なら冷静だからよくわかるし。折原のわたしに対する好きって感情は光奈ちゃんが言ってたように、わたしが新しい洋服買ってもらって大切に着ているときのそれと似てる気がするし」  沈黙が数秒間その場を支配する。 「ほ、他にもあるよね?」  雨宮が慌てて言った。 「も、もちろん。五季のことが好きっていう男子生徒は多いしね」
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