第二章

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 ヘッドエモーションを外して五季を見る。 「これって」 「うん。ストーカーだよね」五季は怯えたように言った。 「えっ? ストーカー?」雨宮が驚いた声を上げる。「ほんとに?」  五季がはっと思い出したように自分の鞄を開いた。ちらりと中を見ると、ごちゃごちゃと乱雑な中身が見える。手を中に入れて一冊の雑誌を取り出した。表紙が折れ曲がっている。それは女子中高生の間で人気がある雑誌だった。妹がよく家の中で読んでいるので覚えている。僕の父親とはライバル関係にあたる出版社が発行している。 「これこれ」  五季は雑誌の最後についていたQRコードをスマホで読み込む。何かのアプリをダウンロードしているのだろう。横から盗み見ると、あなたの彼氏は大丈夫? ストーカー危険度チェック、と書かれた見出しが目に入った。 「ちょっと失礼」五季はそう言ってパソコンを操作しようとした。「さっきの感情わたしのスマホに送ってもいい?」  どうぞと僕は頷いた。
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