🐳くじらのキモチ🌸

アスパラガスのベーコン巻

　「パパ、警察官なんです」

　え？

　「想定外！」
　朧月が愉快そうに降参ポーズをとる。

　「万引きとかタバコとか、いつもここの定時生徒だって文句いってます」
　お巡りさんにバレるなんて、一年の素人だろうけど…まぁ、その通りだ。
　「パパも先生も、定時制のやつとは関わるな、て、うるさい、うざい、それって、偏見だと思う！」

　拗ねた顔で、そう、オレを見上げてくる。

　残念ながら、ある程度はパパが正しい。

　朧月はニンゲンを殺すし、オレだって人のものを奪って生きている。

　「だから友だちにも親にもはなせなくて。定時制のひとが好きとか…」

　なんと、オレたちの所業がユリちゃんの恋路を知らず邪魔して…

　「で、パパが、県下の大泥棒が定時にいるんだって！　セブンで傘、盗みましたよね？　で、あのひとが噂の泥棒さんか！　て、ピン、と、きました！　すっごくスムーズに盗んでました！」

　…いたのか、…て、え、見てたの？
　「見てたの⁉︎」

　「さすが！　て、感じ、手品みたい！」

　いや、女子高生に見られた時点でまったくさすがじゃない。