憧れのRCサクセション

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憧れのRCサクセション

---とある日の清志郎--- ご機嫌だぜ 素晴らしい夜だ ここには平和がいっぱいだ でもこの国はおかしくなってる 世界もおかしくなってる 世の中見渡すと戦争でいっぱいだ 子供達も悲しんでる どうして皆仲良く出来ないんだろう 世の中殺伐としてるけど 今夜みんなに 聞きたい事があるんだ… 聞きたい事があるんだ… (男が手を広げて叫ぶ) 愛し合ってるかい? ア イ シ ア ッ テ ル カ イ ? ------------------------- 政治の右も左も知らない 悶々と燻る若者達が 目覚めた瞬間であった これを見た少年は 親父にギターを買ってもらった 毎日 手が壊れるほど ギターを練習した およそ十年後 少年は同じステージに立った 演奏中にも関わらず 曲とは全く関係のない言葉を叫ぶ ギタリストのくせに どうせPAの爆音で聴こえやしない 「今夜皆に聞きたいことがあるんだ」 「アイシアッテルカイ!」 憧れが現実となった瞬間である "凄いひと"を見た時に 自分と比べて卑屈になるのは 論理の飛躍が過ぎる "凄いひと"がそこに居ただけ もし自分の子供が "凄いひと"を目にして 「どうせ僕なんか…」 と肩を落とすなら それは ただただ 抱きしめてあげて欲しい でも目を輝かせていたなら それは何を言っても 少年の心には響かない 引き留める声も 応援する声も 少年に聴こえるのは 憧れの声だけ 気の済むまでやればいいさ "わくわくは止められないのである"
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