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「――え」
ここでようやくデュークがこちらを振り返る。
「それだけじゃないです。
彼女は数年前から片目が見えていません。
長年一人で家を支えてきた無理が祟ったんでしょうね」
「――。 そんなそぶり、一度も――」
「あと山川さんは、数年前に病弱だった夫と息子が他界し、今は独り身なんです。
それで、彼女はこれまでに何度も自殺を試みています。」
「――――」
とうとう黙ってしまったデュークに、ギルバートはまた続ける。
「どうです?
素性を知った今、彼女たちのことも軽々しく見れないでしょう?」
「……」
「三日坊主で、横暴ですぐ調子乗るデューク様がここまでやってこれたのは全て彼女たちの力なんです。
普段、デューク様に言いたかったことは、全部彼女たちが言ってくれて。
もし戻れるなら1ヶ月前、デューク様が私のプリンを横取りしたあの時、彼女たちに居て欲しかった!
ーーてか、こんなに弱々しくなるなら、もう少し地球に居てほしいくらいですけど。
ーーあ、で、戻ります? どうします??」
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