第二話 デュークバイトする

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「――え」 ここでようやくデュークがこちらを振り返る。 「それだけじゃないです。 彼女は数年前から片目が見えていません。 長年一人で家を支えてきた無理が祟ったんでしょうね」 「――。 そんなそぶり、一度も――」 「あと山川さんは、数年前に病弱だった夫と息子が他界し、今は独り身なんです。 それで、彼女はこれまでに何度も自殺を試みています。」 「――――」 とうとう黙ってしまったデュークに、ギルバートはまた続ける。 「どうです? 素性を知った今、彼女たちのことも軽々しく見れないでしょう?」 「……」 「三日坊主で、横暴ですぐ調子乗るデューク様がここまでやってこれたのは全て彼女たちの力なんです。 普段、デューク様に言いたかったことは、全部彼女たちが言ってくれて。 もし戻れるなら1ヶ月前、デューク様が私のプリンを横取りしたあの時、彼女たちに居て欲しかった! ーーてか、こんなに弱々しくなるなら、もう少し地球に居てほしいくらいですけど。 ーーあ、で、戻ります? どうします??」
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