同窓会

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「ううん。無事だよって伝えたら『よかった』って一言だけ返事があったよ。でも、いきなりどうしたの? すごく怖い顔してるけど大丈夫……? 」 「ご、ごめん。ちょっと気になる事があってさ」  ベッドに放り投げていた携帯電話を手にした賢吾は、指先を震わせながら拓真に『今どこにいる? 無事か?』とメッセージを送った。拓真が今どこで何をしているのか知りたい。それに、万一に備えて先手を打ちたかった。  拓真からの返信は、驚くほどすぐに届いた。しかしそこには、目を疑うような文字が書いてあった。 『もう死んでるよ。さっき送った画像をよく見てごらん』  ついに頭がイカれたのか――? ふざけやがって。  馬鹿馬鹿しいと思いつつ、吐き気がするほど残酷な画像を再度薄目で見てみる。すると、腹に『あ』と刻まれている男性の左手首には、血に染まったシルバーの腕時計が着いていた。見間違いかと思ったが、何度見ても同窓会の日に拓真が付けていたものと全く同じものだった。
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