同窓会

3/13
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
***  小学校時代の生徒会長から、北海道の実家に同窓会開催の案内が届いたのは三ヶ月前の五月初旬。地元の工務店で働いている拓真と、SNSを通じて久々に連絡をとるようになったのも同時期だ。  地元組の拓真、ユキ、ヤスも同窓会に参加する事を知り、東京で暮らす菜実も参加すると後日知った。開催時期が丁度盆休み時期だったこともあり、十日間の長期休暇を取得して久し振りに帰省する事にした。  小学校時代、いつも一緒に遊んでいた五人。卒業を機に菜実が引っ越したため、このメンバーで集まるのは十五年振りだ。アラサーとなった今どんな姿になっているのか、最近どんな事をしているのか、どんな昔話で盛り上がろうか――そんな事を考えているだけで胸が躍る。  同窓会の会場となっている市内で一番広い居酒屋に着くと、すでに懐かしい顔が集まっていた。元々ひと学年四十人弱の小規模な田舎の学校だ。参加数がたとえ半分以下でも賑わって見える。 「――だから、会長は今海外暮らしで同窓会の案内は出してないんだってよ。ウチの母ちゃんが会長の母親から聞いた話らしいけど」 「そんなミステリーみたいな話があるかよ。じゃあ誰が段取りしたんだ? お前の母ちゃんの聞き間違いだって」 「幹事不在の同窓会なんてあるかよ。おっ、賢吾! こっちだ、こっち」  既に飲んできたのだろうか。頬を真っ赤にさせた拓真とヤスが、よく分からない話で盛り上がりながら手招きをしている。  
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!