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同窓会の日にタイミングを見計らって連絡先を交換した後、まさか菜実からデートに誘われるとは思ってもいなかった。
拓真の言う通り、当時は彼女の事が好きだったし、驚くほど綺麗になった今の菜実に誘われて正直嬉しかった。今日のデートで長い年月が築いた溝もあっという間に埋まり、こうやって今二人でいる事も運命のように感じる。
僅か一週間前の出来事を思い返していると、腕の中で小刻みに震えている菜実が潤んだ目をしていた。
「……賢吾。私、拓真に無事だよって連絡するね」
衣服の上に無造作に置かれた携帯電話を取りに行った菜実。余程恐怖を感じているのだろう――僅かにふらついた足元で枕元へ向かい、ヘッドボードに体重を預けながら携帯電話を操作している。
『ユキとヤスが殺された』という事実を今話したのは間違いだっただろうか。携帯電話をぼんやり見ていると、拓真から新着メッセージが届いた事を知らせる通知音が鳴った。
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