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初めは、何かの冗談かと思った。
一週間前に開催された同窓会で久々に再会した山内拓真から、深夜二時にも関わらずメッセージが送られてきた。そこには、つい先日一緒に飲んだ同級生二人の肉体が切り刻まれ、赤黒い血液に塗れ無惨な姿になっている画像が添えられていたのだった。
鏡張りの天井、スプリングの効いたキングサイズのベッド、青と紫が交ざり合った妖艶な色の照明――バスローブに身を包んだ自分がいるこの空間をシュールに感じてしまう程、衝撃的で背筋が凍るような内容が書いてある。
『ユキとヤスが何者かに殺されたって、二人の親から連絡があった。二人とも体に文字みたいな傷があるから連続殺人じゃないかって。念のためナミに連絡してみたけど返答がない。お前も連絡取ってみてくれないか?』
見るのも躊躇われる画像に再び目を向けると谷口由貴子の背中には『こ』、佐々木康成の腹には『ろ』と思われる字が鋭利な刃物のような物で刻まれていた。
狂ってると言わざるを得ない犯行と、身近な友人二人の死。吐き気がするほどの恐怖が押し寄せる中、唯一救いだと感じたことはナミ――小松菜実と今ラブホテルの一室で一緒にいる事だった。
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