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「ああ……せめて痛みがなければいいのに。ウグレ神よ、この子達の痛みを取り去ってあげてください。どうか、どうかお願いします」
ウルラは自分の胸からクレールを離すと、白髪へと変化し始めたクレールの金色の髪を束でとった。
「あなたはなぜかとても石化が遅くて、もしかしたら星の瞬きだけで石化はせずにすむかもしれないと思ったのに……」
二つ上のアマラはクレールの歳には既に相当石化が進んでいたのだ。それなのに、クレールはまだ髪の一部と表面上にはないが体の節々が痛むだけで済んでいた。
「ウルラ、私は諦めない。石化しないで済む方法がないか……たとえば体にいい薬草とかとことん調べて試してみるつもりなの」
語気を強めると、背中にあるムチの傷が痛んでとっさにクレールは口を閉ざす。そんなクレールの体をゆっくり倒してからウルラはクレールに布団をかけた。
「神仕長様にはばれないようにね。私も何か良さそうなものがあったら手にいれてみるわ。ここだけの話よ? さあ、今夜はもう寝ておしまいなさい」
この日から半月経たずにアマラは完全に石へと化した。苦痛に歪む顔をもう見ずにはすむのだと思うとどこかホッとしたが、次はクレールの番だと思うと深い悲しみから恐怖へと気持ちが支配されていくようだった。
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