《9》 えぴろーぐ

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《9》 えぴろーぐ

 後日──、唯の通う学校は、まあるい感じの雰囲気に満ちていた。  そして、森崎がエモリスタに投稿していた『風船ガール』の閲覧数が一気に上がった。    村松と今田は、仲の良すぎる先輩・後輩として微笑ましく見られるようになった。    今回の当事者であった近沢唯と佐咲は、大掛かりな演技の末に結ばれたカップルとして公式に認められた。    それぞれが、それぞれの思惑で動いたこのお話。  さて、もっとも利を得たのは、五人のうちの誰だったろうか。  しかし、読者の皆様がどのように感じ、受け止めてくださっていたとしても、『風船ガール』の運命を司るしがない作者が何よりも訴えたいことは、 「物語に関わった五人全員が幸せな結末を迎えないと、ゆるさないのですよ!」  まさしくこれに尽きるのではないかと思う。  命を賭して鳴く(せみ)と、さわさわ揺れる(こずえ)のハーモニー。  とある夏の一幕は、秋へ冬へと連綿続くプロローグに過ぎないのであった。                                       (了)
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