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紙ひこうきは大きく弧を描き、俺のが先に、続いてユウのひこうきが、町の外れにある雑木林の中に落ちて行った。
あの時の紙ひこうきが、どうして今ここにあるのだろう。
俺のは先を折ったやつだから、こっちがユウのだ。
ピンと張ったままの、作り立ての紙ひこうきみたいだ。
もしかして、これはユウのいたずらか何かか。
俺を呼びつけたくせに部活の先輩と並んで帰ったユウの姿が浮かんで、ふたつの紙ひこうきが手の中でぐしゃりと潰れる音がした。
「くそっ。なんなんだよ」
団子になった紙ひこうきを床に投げつけて、蝋燭を手に道を進む。
歯がぎしぎしと音を立て、唇を噛んだ。
鉄の味が舌に滲んで顔をしかめた。
どうしてこんなにイライラするのかわからない。
ユウが俺をからかうような事をしたから?――違う。そもそも、歩道橋で待ってろって話も、ユウ本人が俺に言ったわけじゃないのだから、何かの間違いかもしれない。
あいつは、そんなくだらないからかいをする奴じゃないのはわかる。
じゃあ何でこんなにイライラしてるんだ。何でこんなにもどかしいんだ。
なんでだ。なんでだよ。
「俺、泣いてんじゃん」
立ち止まって、手首で頬を拭って服に擦り付けた。
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