8月2日は、パンツの日のようですが2022。

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「……クソっ」  本能に抗えなかった自分を責めるように、翔琉は唾棄した。  大切にしたいのに、大切にすると決めていたのに。  二か月離れただけで、こんなにも自制できなくなるなんて。  いや、一秒だって颯斗から離れたら──俳優、龍ヶ崎翔琉でいないと淋しくていられないのだ。なんて、当の本人にはとてもじゃないけれど感情が重すぎて口になんてできないのだが。 「かけ、る……そんなに激しくされたら、すぐ……イっちゃう、ぁっ……あああ」  せめてもの救いは一度達したはずの颯斗が、今にもまた達してしまいそうだという事実だ。  獣のようになっているのは、翔琉だけではないのである。  その事実だけで全身が、翔琉の中心が、熱く蕩け出していく。 「だったら一緒に、イこう」  返事を待つより先に颯斗の両膝裏をつかむと、胸に近づけるように折り曲げて抽挿を再開した。  二人の上がる息遣いと交合の蜜音が、ベッドルームへ色濃く響く。  間違いなく今、腕のなかに颯斗がいる。  ここにいて、ふたりは繋がっているのだ。  夢にまで見た颯斗と、間違いなく繋がっているのだ。    その事実だけで、胸が熱い。   「好きだ」  独白するように翔琉は呟いた。  一度口にするとあとはもう、止まらなかった。 「好きだ、好きだ、好きだ」  額からはじまり、時計回りに颯斗の顔じゅうキスの嵐を降らしていく。  上体を近づけたことにより、いっそう奥深く繋がる。   「ぁあああ……奥に、おくに、翔琉がっ……ぁああ、ダメっ」  翔琉の背に手をまわした颯斗が、堪えきれないとばかりにぎゅっと爪を立てた。  痛みよりも快感が勝る。  次第に、二人がひとつになっていく錯覚を覚えた。   「……ソコ、気持ちいいのか? だったら、もっと奥で俺を感じて」  平然を装って囁くが、すでに限界だ。  身体に記憶した颯斗の囀る場所を突きながらも、がんじがらめに翔琉の熱雄は締めつけられている。  いつだって囚われの身のうえは、翔琉のほうだ。  昂る熱雄をきつく握って離そうとしない。 「ぁ……翔琉、おっきくしないで……」  めずらしく自らも腰を動かし、颯斗を内に擦りつける颯斗は無意識なのだろう。  言葉と行動がちぐはぐだ。 「こっちだって大きくするつもりはないが、颯斗を見てたら勝手になってしまうんだ。ほら」  乱れた呼吸のまま翔琉は一気にそう告げると、熱雄をいきおいよく颯斗から引き抜いた。 「っぁあああ……」  ひときわ颯斗は大きな嬌声を上げる。  瞬間、全身が痙攣し熱雄が爆ぜた。  同時に、翔琉の熱雄も颯斗の腹部目掛けて飛沫を放つ。  二人の激情が、どろどろと腹のうえで結合されていく。  ぐったりとした颯斗に慈愛のキスをひとつ、唇へと落とすと、めずらしく颯斗へのしかかるように覆い被さった。  身体が汚れるのも厭わずに。  いつの間にか翔琉の履いていたビキニはびっしょりで、この日のために調達してきたメイドインハリウッドなバニーパンツは、ベッドルームでその消息を絶っていた。      
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