今年も24時間〇レビが終わったので……(オメガバVer.)

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今年も24時間〇レビが終わったので……(オメガバVer.)

※「一年の計は初夢にあり♡」の世界観のお話です。未読の方はご注意ください。 『今年の二十四時間テ〇ビのテーマは、【会いたい】です。スタジオには現在、ハリウッドでご活躍中の俳優、龍ヶ崎翔琉さんにお越しいただきました』  近年では、黄色以外の選択肢も増えた番組の企画Tシャツを着た人気の女子アナウンサーが、テレビの中で興奮気味にゲストの登場を伝えている。  心なしか、大きすぎる胸を翔琉の眼前へと突き出すように強調しているのは気のせいだろうか。  十中八九、あのアナウンサーは多分、オメガだ。  まあ、そうしたくなる気持ちも……わからなくはない。  全方位、誰がみても翔琉はイケメンで、パーフェクトなアルファなのは紛れもない事実なわけだし。  本能により、強いアルファへ惹かれてしまうのも仕方がない──のだが。 「パパだ!」  龍ヶ崎家の末っ子、紅一点の琉愛(るな)が画面に映った父親の顔を認め、颯斗の膝の上で大きく跳ねた。  慌てて颯斗は、膝から琉愛が落ちないように背後から腰をホールドする。  今年、無事に五歳を迎えた娘は、家族全員からの寵愛を受けて育ったせいで、とても甘えん坊なレディへと成長した。  こうして今、無駄に長いソファには座る場所が多々あるというのに、わざわざ颯斗の膝の上を狙って座るくらいには。 『龍ヶ崎の会いたい方はこちらです。まずはVTRをご覧ください』  別日に翔琉がロケへ出た映像がはじまり、右下のワイプには女子アナが積極的に翔琉へ話しかけているのが映し出される。  左薬指にゴールドの指環があることを気づかないのだろうか。  むむ、と眉間に皺を深くさせながらも、嫉妬する自分が嫌で颯斗は小さくため息をついた。  極上なアルファである翔琉を選んで結婚したのは、自分だ。  常に嫉妬する未来がつきまとうのを承知で、翔琉と添い遂げることを決めたのだから、この感情は醜いものである。  琉愛の誕生直後、翔琉は既婚者であることを世間へ告白した。  だがやはり、いまだ翔琉への熱烈求愛アピールは、オメガや男女の性差など関係なく絶えまなくあるらしい。  それもこれもアルファはオメガと違い、番を解消してもまた新たなアルファと番うことができるせいだ。  そのため、子持ち既婚者であっても翔琉の優秀な遺伝子を欲しがるものは少なくなく、ワンチャン事故でもいいから手に入れたい。危険を冒してまで狙うものがたくさんいるのだそうだ。  もちろん当の本人が、溺愛する十歳年下の愛妻にだけしか操立てしない。そのつもりがあるのは、日頃の言動から重々承知している。  だが、いつも翔琉のマネージャーが浮気をしていない証拠にと、聞きたくないことまでこっそり耳に情報を入れてくれるのだ。  番としては……正直、いや、かなりの高確率で──不安、だったりする。    翔琉本人には言えないけれど。
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