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あっという間に全身を洗い上げた翔琉は、平然とした様子でシャワーをかけていく。
その頃には隠せないほど颯斗の熱雄も勃ちあがっていたが、かまうことなく翔琉はくまなく泡を落としていった。
綺麗に磨かれた裸身が露わとなると、ふたたび颯斗を横抱きにして、家族全員が足を伸ばしても悠々自適に入浴できる黒色の浴槽へ、翔琉とともに沈んだ。
乳白色の波がざぶ、と浴槽の縁から勢いよく流れ出ていく。
颯斗の顔へ飛沫がかからないように、翔琉は自身の逞しい身体へ折り重なるように横抱きから縦抱きへと抱え直す。
臀部にずしりと翔琉の熱雄の重みを感じる。
「……えっと翔琉、あの」
いつまで経ってもその存在だけをちらつかせるだけの翔琉に、とうとう颯斗はしびれを切らして自ら口を開く。
そして結果的には、翔琉へねだるような姿勢で胸元へ背をもたれさせる。
「今日の颯斗は甘えん坊だな」
上機嫌に翔琉はそう告げると、颯斗の左頬から顎へと手を滑らせて、そっと上向きにさせて接吻をした。
「俺がいなくて寂しかったのか?」
翔琉に問われて素直に頷くのも癪だったので、少し間をおいて颯斗は小さく頷いた。
途端、ずくっと臀部に充てがわれていた翔琉の熱雄が、よりいっそう重量を増して、羞恥から颯斗は硬く目をつぶってしまう。
「素直な颯斗は本当にかわいいな。もっと労いたくなる」
どうしようもなく疼いて仕方がない颯斗の熱雄へ、ようやく翔琉の大きな手が伸ばされる。
鈴口を二度、やんわりとお湯の中で撫でられて、颯斗は腰を震わせてしまう。
「かわいい颯斗のココ、俺の手で感じてくれてるのか?」
感じないわけがないと颯斗は思った。
けれど二度目は素直に頷きたくなくて、沈黙を保つ。
すると翔琉は、颯斗の耳朶や首筋にちゅ、ちゅとリップ音を盾ながらキスの雨を降らし、理性のベールを溶かそうとしてくる。
「今夜はすぐに顔が蕩けたな。そうやっていつもいっぱい甘えてくれたら、俺は嬉しいんだが」
ふと翔琉が手の動きを中断させて、颯斗の首筋へと頭を預けた。
甘えてくれたら嬉しいと口にしているくせに、めずらしく自らが甘えるような仕草を見せてくる。
めずらしいことだった。
けれど颯斗はその愛おしい重みに、これ以上ない多幸感を覚えていた。
大好きな相手がこうして甘えてくれるのは、颯斗としてもひどく嬉しいものがある。
普段、翔琉は全方位抜けのないパーフェクトすぎる旦那さまだから、こうして颯斗の前で色んな顔を晒してくれるのは、とても嬉しい。
というか、颯斗だけしか、その姿を見ることができない伴侶特権がたまらなく嬉しいのである。
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