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「アメリカで颯斗のために俺が見つけてきたものだ」
間髪入れず翔琉はたたみかけた。
もちろん断られないためにだ。
「ほら、きっと颯斗に似合う」
颯斗が手にしたものをそっと奪い取ると、かしずくようにサニタリールームの床へ膝をついた。
「えっ……」
さすがの颯斗も驚きを隠せないようだ。
ここまで来たら、八割方作戦は成功だろう。
あとはこのキュートなパンツをはかせるのみだ。
「よかったら颯斗のために選んできたコレを、俺に手伝わせてもらえないだろうか」
しおらしく懇願すると、颯斗は戸惑いながら翔琉を見下ろした。
なにもつけてない生まれたままの颯斗の姿を臨む翔琉の理性が、今にも消えそうだとは気がついていないらしい。
過去、国内外問わずして主演男優賞を受賞していた自身の演技力の高さに、全力で感謝する。
「……え?」
生まれたままの姿で颯斗はひどく困惑していた。
恋人としては、この姿も捨てがたい。
というか、いつも翔琉を受け入れる秘処が露わになっているのだから、理性が飛びそうなのはデフォルトだ。
しかし今日は「パンツの日」である。
今回の帰国も、例のパンツを颯斗へはかせるために無理やり合わせたのだ。
デニムの中で窮屈そうに前を押し上げるアイデンティティを翔琉は必死で宥め、「俳優龍ヶ崎翔琉」の仮面を必死で被ろうとする。
だが、下半身は緊急事態に陥っていた。
パンツミッションが無事達成するまで手は出さないと決めていたが、日本を離れていた二か月にもわたる禁欲生活のせいで、すでに本能が理性を凌駕していたのだ。
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