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「食べて、過去に戻れたら何する?」
「競馬の当たりレースでも買うよ」
僕が笑うと、同時に目の前の視界は麻酔でも打たれたみたく、真っ暗になった。
そして、気がつけば僕の意識は15年前の市民プールの、プールサイドに降り立っていた。
目の前には、不良男子数人に囲まれる野乃とその女友達。
そして、僕は奈良原というクラスメイトと共に、海パン姿で不良男子に囲まれる野乃を遠巻きに見つめていた。
この当時、既に野乃に恋心を抱いていた僕は、野乃を助けなくてはと思った。
しかし、僕は動く事が出来なかった。
目の前にいる不良男子の一人は、暴走族に属している札付きのワルであり、そんな不良と揉めたらタダでは済まないと僕は思っていたからだ。
完全に僕が臆していたその時、隣にいた奈良原が不良男子の側まで行くと「嫌がってるだろ」と、野乃の前に立つ。
結果、奈良原は全治2ヶ月という大ケガを負う事となるのだが、どうやら彼のこの勇敢な行為が野乃の心に刺さったらしく、結果野乃は彼と付き合い始め、そのまま結婚へと至ってしまった。
今、僕は人生のターニングポイントに降り立っていた。
もし、僕が奈良原より先に不良男子に動けば、僕は野乃と付き合い、あわよくば結婚に至るのではないかと。
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