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僕が思考を駆け巡らせていたその時、隣にいた奈良原が過去の出来事に沿う形で、一歩前に踏み出した。
しかし、僕は奈良原の歩を止めると、足を震わせながら不良男子の元に歩んでいく。
昨日の立ち飲み屋での、オッサンとの会話を僕は思い返していた。
たとえ、全治2ヶ月のケガをしても、この時に野乃を助けていれば、俺は野乃と結婚出来たかもなのに、と。
オッサンは僕の話を聞き終えた後、「次にそういう事があったら、野乃ちゃんを助けてやりな!」と僕の背中をバンバンと叩いたが、僕もそう思っていた。
コレは壮大な夢であろう。
なら、あの時の後悔に対するリベンジを今ここで行えばいいし、現実に加えて夢の中まで後悔を引きずるのはゴメンだと僕は思った。
「嫌がってるじゃないですか……」
僕が不良男子に注意をすると同時に、強烈なパンチが飛んできた。
夢にしては、猛烈に痛いと感じた。
そして、意識が無くなるまで不良男子から殴られ続けた後、僕は「サトシ」という野乃の声で目が覚めた。
僕が目を覚ますと、その周囲にはきらびやかな遊園地の世界が広がっていた。
「えっ、ラーメンは? 不良は?」
「だいぶ、ヤバい感じまで意識が飛んでるね……」
すっかりと、大人の女性へと変貌を遂げている野乃は肩をすくめると、緑茶のペットボトルをベンチに横たわっている僕に手渡す。
「サトシ、メテオストライクに乗って、ずっと気絶してたんだよ。
まぁ、無理矢理乗せた私も悪いんだけど、まさか気絶するとか思ってなかったよ」
「メテオストライク?」
ベンチから起き、僕が顔を上げると、そこには確かに隕石を型どったマシンがレールに沿って垂直落下していた。
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