172人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
私たちは、“ギフト”の時間を持つようになった。お互い少しだけ恥ずかしさから解放された頃、抱き合った後に彼が顔を赤らめながら教えてくれた。
“先輩たちが、僕と会うたびにお守りだからって一つずつくれるんだ。僕にそんな機会はなかったから、たくさん持ってる”
どうやら、異国の地で男女交際を楽しんでいる先輩がいるみたい。経験はないと言いつつ、彼に知識があるのは先輩のせいだとわかった。
“こどもを望むまでは、これがないといけない”
生真面目な表情で彼は言った。女性に厳しい信仰かと思ったけれど、守られている側面もあるのかもしれない。一部の過激な言動にだけ目を奪われてしまって、全体を判断してしまいがちだけれど。
驚くこともたくさんあるけれど、認め合い絆を深められた。
一緒に過ごす時間が増えた分だけ、近付いてくる私の帰国の時がくるのを恐れてしまう。
長い冬が終わりに近づき、少しずつ寒さが緩み始めた。暖かい日差しが待ち遠しかった。
でも、あっという間に二つの季節が過ぎてしまったことに、私は愕然とした。
彼とこんな風に過ごせる時間は、もう数ヵ月しかない。そんなこと、最初からわかっていたのに。
離れたら、私たちはどうなるんだろう?
続けられる?
それとも、期間限定のお付きあいなのかな。
最初のコメントを投稿しよう!