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 “ギフト”の後、うたた寝をする彼の髪を撫でながら、数か月後の自分の姿を想像しようとした。でも、何も思い描けず、苦しくなるだけだった。不安を振り払うように、彼の胸に顔を埋めようとすると、彼の手で遮られてしまった。 “香那、こらえないで。僕に教えて”  首を振ろうとしても、彼の力で動かせず目を伏せた。  いつもより深く彼が口づけた。 “一人で溜め込まないで”  痛くも乱暴でもないけれど、いつもと違う触れ方だった。  唇も手も熱い。 “僕も抑えない。だから、香那も気持ちを解放して”  私を見つめて呟いた彼は、私の返事を待たずに口づけた。初めて、彼の舌が私を誘うように、絡めとるように動いた。 “もっと見せて。僕が知らない香那のこと”  彼は、私の体中を唇と手で辿った。  あまりにも長い時間愛撫を繰り返す彼に、尋ねるみたいに顔を見返した。 “香那は僕に合わせるだけ?僕の気持ちだけで二人のことは決まるの?” “…違うっ”  私から手を伸ばして、彼を引き寄せて唇を重ねた。こんなことで違うと証明できるなら、いくらでもする。  彼は漸く体を繋げてくれた。でも、いつもと違う。恥じらう私の本当の姿を暴くみたいに、執拗に突いた。 “もっと僕のことを求めて、欲しがって”  体を反転させて、私を体の上に持ち上げて彼が言った。腰を揺らすと、眉を寄せる彼の表情に胸が締め付けられるみたいに感じた。  だから、彼を見詰めて言った。 “もっとそばに来て。…寂しいから” “香那は強いけど、寂しがりなんだ”  私は彼といるようになってから、弱くなったのかもしれない。  違う。  もともと強がってだだけ。彼が、そんな私の気持ちを解してくれたんだ。 “わかってたことなのにね。僕も時々我が儘を言いたくなる” “我が儘?” “僕のそばにずっと居てって” “それは我が儘じゃない。私もそう思う。切実な、願いだね” “香那が言ってくれたから。今も未来も諦めないって。だから、一緒に考えよう。きっと僕達には、距離なんて問題ないよ”  彼が下から掬うように口づけた。肌が触れあうと、心地よさに無意識に背が反るのを彼に強く抱き寄せられ突き上げられる。  堪えきれずに声を漏らす私を、彼は愛しそうに見つめ抱き締めてくれた。 「恥ずかし…」 「全然。僕は喜んでる。僕の前ならいくらでも妖艶になって。嬉しいから」  息を整えながら尋ねた。 「…そういうもの?」 「そうだよ。大切な教えなんだ。パートナーの前でだけそうする。大好きな人にだけ自分を見せるんだ。だから、男女問わず結婚に憧れる。香那にもそうしてほしい」  私は彼を強く抱き締めた。  愛してる。  もっと愛して。  そう、耳元で囁いて。
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