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prologue
強い女だと言われる。
そう言われるのは、嫌じゃない。事実だし、強い人でいられるように努力してるから。
でも、少しだけしんどい時もある。
そんな私が寛げる場所があった。
かつては。
仲間がいて、あいつがいて。
あれから、会えるかもしれない機会は、自分で潰した。もう、戻れないから。時間はもう流れてしまったから。
母だってそうだった。
1ヶ月の短期留学に向かう飛行機の中で、まどろみながら過去を思い出していた。
思い出したのかな?
夢を見たのかな?
ふと、温かい気持ちになったから、驚いた。
そうだ、私。
あいつの前では弱音も吐けたんだ。
最後まで、口にできないことが一つだけあったけれど、それ以外は全部、あいつには伝えられた。
言えていたら、何か変わっていたかな?
そんな問いを、今まで何回繰り返したかわからない。
甘い考えを振り払うように首を振る。
もう二十歳だし。
いい加減、過去から卒業しよう。
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