3 やっとファンタジーかな?

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3 やっとファンタジーかな?

本物の召喚者3人に、間違い召喚者の私が1人、その4人で新生勇者パーティーが始動する。 幸いに魔王の逆鱗に触れて冒険前に全滅、とはならなかったけど、2ヶ月後には中ボス戦が待っている。 時間の余裕はないのだ。 急いで勇者パーティーを強化しないとまずいから、みんなを連れてモージー冒険者ギルドに来たのよ 。 ◆ 「わあ、テンプレくるかなぁ?2メートルの大男に絡まれたら、どうしよ~」 「おっマリン。ここモージーは別名、召喚者タウン。日本語、日本文化もかなり染み込んでるよ。テンプレとかの言葉も、みんな普通に使ってるよ」 「・・」 「サラ、この子の夢、壊さないで。ラノベ大好きで、この瞬間を待ちわびてたんだって・・」 「あたっ。しまった」 「うっひゃっ、ひゃっ。ん?」 「おうっ!サラ!」 「げ、ホントに2メーターの大男・・やべ」 「チグサちゃん、失礼だよ。このハゲはギルマスのハンセンさん。昨日顔見たでしょ」 「おめえが一番失礼だよ。ま、ついてこい」 日本のラノベ展開を期待してたマリンには悪いけど、ここは日本人イチローが作った街。 「魔道てれび」をはじめとするメディア、「魔道列車」なんかの交通網、食文化なんかが発達している。 動力の魔石が高くて、私は魔道製品は使ったことがないけどね。 ◆ 「さて、拠点は海浜公園近くの6LDKを用意してある。支度金は金貨100枚ずつ。各種ポーションもだ。帰るときに倉庫寄って、携帯食も受け取ってくれ」 「サンキューマスター」 「あれ?予想と違います」 「だよね、あっさりしてる」 「考えてみれば、召喚者は必ずこの街に来るんだろ。マニュアルがあって当然か」 「ギルドカードだが・・」 「きたあぁ、ギルドカード!Fランクからスタートですね!」 「ごめんな、マリンだっけ。召喚者はレベルがんがん上がって、スキルがんがん覚えるから、普通のじゃ更新追い付かないんだ。最初からSランク用のブラックカード、ほれ」 「・・・・」 「ああっ、目に涙ためんな!もう、なんならFランクから始めていいから」 「なんか、ほんのりするね」 「早速、ダンジョン覗くだろ。イヅカ初級ダンジョンに行ってこい。女神の装備はオリハルコン製だから、傷ひとつつかないから」 ◆◆ オリハルコンの装備をもらった私達には必要ないのだけど、知り合いの男4人組パーティーを護衛に雇って、ダンジョンに来た。 マリンのため、ファンタジー色を出すためだ。 「マーク、私、成り行きで貴族になったよ」 「サラ様って呼ぶか?」 「ふふふ」 「あのう、あの二人はどんな関係なんですか?」 「あの二人?幼馴染みで、結婚の約束してんの」 「サラっち、17歳だよな」 「ああ、日本は違うらしいけど、アストリアでは普通。俺もトーマも、じきに結婚するよ」 「俺らの弟分のベンなら独り身だよ。どう、日本の美人さん達、魔法が多彩で掘り出しもんだよ」 「ベン君? う、銀髪の美少年・・元モブ子には、ハードル高すぎ」 「美人の勇者さんが困ってるよ。真面目に仕事しようよ」 ◆ ダンション1階。 ごぶりんがあらわれた。 「ほら、みんなが待ちに待ってたゴブリンだよ」 「キャーキモい!」 「やあぁ、くさい!ホンモノはくさいです!」 「うりゃ、女神に貰ったオリハルコンメイスだ!」 ゴシャ、グジャッ、ゴゴッ。 すんげぇオーバーキルだよ・・ 彼女らは、大騒ぎしながら、1時間で30体ほどのゴブリンを倒した。 「初めて魔物を殺したけど、気分はどう」 「あっ言われてみればショックがない。というか、自分が一度死んだことにも、動揺してない?」 「レナちゃん、それは隠しスキルの精神耐性だよ、きっと」 「へ~マリンって物知りだな。不思議な気分だ」 「なるほど。普通の人が魔王と戦うために、ハートから頑丈にするんだ。自覚ないけど、私も変化してんのかな、マーク」 「さあ、違い分かんない」 ◆ 5日後。中級ダンジョン15階。 「ボス部屋はオークキング、護衛は三体。ギルドの情報通り」 「個別?それとも集団戦?」 「公開対戦のことも考えて、集団戦で連携の練習しましょう」 「OK!」 ◆ 15日後。中級ダンジョン10周目。 「何か、もう中級ダンジョンも卒業かな」 「だな、地元の冒険者にも言われたけど、アタイらの成長は異常みたいだな。そうなんか、レナ」 「えいっ!あっ、オーガの胸に穴空いた。自分でもおかしな成長だと思うよ。私、先月は一角うさぴょんを相手に死闘を演じたくらいに弱かったんだよ」 「勇者パーティー四職の職業補正ってやつですよ。女神様のやりすぎですよね」 ◆ 30日後。上級ダンジョン28階。 「なあ、何か公開対戦に期待が集まってて、街で男女問わす、声かけてくれるんだ。うおりゃ!」 「はいっスラッシュ!チグサ、取材も一杯受けたよね。救世の戦乙女とか、私達に過分な名前よね・・」 「レナも思いますか。嘘でも、あれだけ可愛いって言われると勘違いしそうです。ねえ、オーガのみなさん、死んでください。アイスパラダイス!」 「ねえ、みんな。ここ上級ダンジョンのモンスターハウスだよ。罠部屋だよ。もっと真面目に戦おうよ。こんな風にさ。ふんふんふん!」 「そうねえ。何かゲームみたいなパワーの上がり方だよね」 「元から冒険者のサラは、頭一つ抜け出してるけど、私達も強いんじゃね?」 「普通の冒険者がオーガ1体に出会ったら、いかにして逃げるかを考えるそうです」 「・・終わったね。このモンスターハウス、何体のオークがいたの?」 「賢者のサーチによると86体いたようです」 「私達、おかしな強さだよね」 「今日は魔道具屋で、日常生活用にパワー激減の指輪探しに行くか」 「そだね、握手で人の手を潰してしまいそうだね」 ◆ 40日後。上級ダンジョン20周目。 「えいっ!」 「だめよ、レナ。不合格」 「ええ?」 「お手本、見せてやるよ。うなれ!オリハルコンメイス!」 「合格」 「私はどうですか?さあ、氷付きなさい、アイスプリズン・・」 「ばっちり!私も虎炎掌!」 「「「さあ、レナも」」」 「ハイオーガ相手に「映える」戦い方の練習なんておかしいよ!」 「いいから、やって。魔王を満足させる戦いにしないと、いきなりラスボス戦だょ」 「ひぃいぃいいい!」
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