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4 こんなとこに異世界要素
魔王との交渉に成功して早くも56日、公開対戦の日は近い。
思ってた以上に、周りが加熱している。
「なにこれ「勇者マガジン零号」って、表紙が私達じゃない!まるでアイドルみたい!」
「どれどれ?勇者レナ身長160センチ、Bカップ。拳聖サラ158センチ、細身。賢者マリン155センチ、Eカップ。聖女チグサ、164センチ、・・」
「いやだ、いつの間にバストサイズなんか・・」
「マリンはEか、いいなぁ」
「こんちわ。レナさん」
「あっベン君。また会えたわね」
「えへへ、なんで今日はギルドに?」
「公開対戦も近いし、遠征するためにギルマスとの打ち合わせ。あと一応、護衛も必要よね」
「そうなんですね」
「そうだ、私みたいな女の護衛で良ければ、ベン君にお願いしていい」
「マジですか?ぼ、僕が注目の美人勇者の護衛ですか?よ、喜んで!」
「え、笑顔が可愛いわ、ベン君」
「え、こんな普通顔になに言ってるんですか。戦乙女のレナさんに言われると勘違いしますよ」
「・・ごめんなさい」
「・・いいえ」
「やるねレナ。じゃあ、私もマークもベン君と同じパーティーだから、ギルドに頼んで指名依頼にしてもらおったと」
「いいですねえ。二人とも」
「マリンはリアルファンタジー住人の話聞きに行って、ギルマスとちょっと仲良くなってるよね」
「けっ、三人ともいいよな」
「チグサは怪我人を見ると直してあげるから、チグサ親衛隊ができてるよ」
「そうです、チグサがその気になれば、逆ハーも夢ではありません」
「ちっと聖女らしいことしただけだよ。逆ハーってなんだよ」
◆
「それよかサラ、昨日さ、四人で新発売の「魔道スマホ」買っただろ。動画サイトとか、アタイら四人の話題がえらいことになってるぞ」
「え?使い方が分かんなくて、聞こうと思ってたの。まずい話?」
「逆」
「ほら、これ見てください。サラがインタビューを受けて、アストリアを守りたいから、声援と勇気を下さいって言いましたよね」
「とっさに言ったね」
「それが美談として、ネットの上を駆け巡ってるわ」
「え?」
「救世主サラと三人の美しき戦乙女って!」
「適当に言葉を並べただけなのに、救世主扱い!」
「これは、気合いが入りますよね」
「それより重要な問題がある。アタイ達の「三人の美しき戦乙女」って、やりすぎだよ」
「私はもてたことがない。クラスでも中の下だったかな」
「私は論外です」
「アタイもケンカ以外で男が寄って来たことがねえ」
「そんな三人に、異世界から来て魔王と戦ってくれるからって、美しき、は言い過ぎ」
「分かります。私達が女性誌の特別号に載ってて、モデルみたいに立ってたの見たときは、ドッキリかと思いました」
「アタイも雑誌の人に日本で何人の男に告白されたか聞かれて、ゼロなのに見栄張って1人って言ったら、驚かれたもんな」
「ああ、そしたら雑誌の人が驚いてたものね。そんなお綺麗なのにってまだ1人なんですかって」
「う~ん」
「マリンも変だと思う?」
「サラ、何なんだよ、この加熱ぶり」
「単純に「日本顔」の超絶美女が三人もそろったからでしょ」
「ちょう」
「ぜつ」
「びじょ?」
「あのさ、1000年前からこの世界を救って来たのは、召喚された日本人なの」
「みんな、黒髪、黒目ですよね」
「年を重ねていくごとに、日本人に感謝しあこがれ、あなた方みたいな風貌が美の基準になったらしいわ」
「らしいとは?」
「ギルマスに話を聞いたから、歴史を知っただけ。私から見た三人は美人としか言いようがないもの・・」
「え?サラはフランス映画の主演女優みたいですよ」
「フランス映画が何か分からないけど、三人に比べたら、私はすごく平凡だよ」
「・・なあマリン、レナ」
「・・ええチグサ、ただのスモール日本かと思いましたが、やっと私達に都合のいい世界が見えてきました」
「ええ、ベン君、もしかしたら本気で私を美人と思っているのかも」
「美醜逆転ぽいのあったんだな~!召喚されて良かったぜ」
「さあ、サラ!ダンジョンに行きますよ!」
「おうっ?わかった」
◆◆
「聖剣よ、光輝け!ブレイブスラッュ! どう今の一連の流れ」
「聖剣よ、って言うときに目を閉じてから、またひらく方が映えます」
「分かったわ!」
「マリン、こっちも演技指導頼む!」
「了解、次はこっちもお願いします」
三人は自分たちがアストリアで美女だと知ってから「映える」戦い方を研究している。
なんというか、実験台のオーガに同情する。
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