3.調査!

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3.調査!

「一体何があったんだろうね?」 「うきゅ……」 「なにか、思いあたる事はないの?」  お兄さんに言われて、狐乃音はここしばらくの行動を思い出していた。  確か昨日は……お勉強用のタブレットをみっちりやって、お兄さんが用意してくれた計算ドリルとか漢字のテキストも終えた。まるで夏休みの宿題みたいだねと、お兄さんが言っていたのを思い出す。  それからお風呂を洗って、お掃除をして、お手伝いを終えてからDVDを見たのだった。  見たDVDは……ある日人魚の女の子が人助けをして、ついでにその人に一目惚れをしてしまい、怪しさ満載の魔女に頼み込んで、人の足に変えてもらって。その代償で声なんかを失って。で、その後色々あったけれども結局恋は実らず失恋してしまい、強炭酸水みたいにブクブクと泡になって消滅してしまう系のアニメだった。  狐乃音はハッとなった。 (も、もしかして!?)  人魚が魔女の力によって人の足を得た時に代償となったもの。つまりは声。 『わたしがきのう、そんなあにめをみたから!』  だから声が出せなくなってしまったのかもしれない。なんということだ! 「そんなことはないと思うけれど」  あわあわしている狐乃音とは対照的に、お兄さんは冷静だった。  他に、なにかおかしいことはなかっただろうか?  どんな些細な事でもかまわないから、思い出してと、お兄さんはそう言った。 (あ!)  ……あった。一つだけ明らかに妙なことが。狐乃音はそれを思い出していた。 『お兄さん』  狐乃音は少し考え込んでから、スケッチブックに文字を書き連ねた。 『ちょっとだけ、思いあたるふしがあります』 「それはどんなこと?」  ただ、まだ不確定なので細かいことはお伝えできない。そう伝える。  けれど一つだけ。狐乃音はお兄さんにお願いをした。 『ごきょうりょくを、おねがいします』 「勿論。僕にできることなら、なんでもするよ」  どんな時も、お兄さんは全面的に協力してくれる。これほど心強い味方はいないですと、狐乃音は思った。
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