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一昔前の話だが、私は医療事務として地元のクリニックに約5ヶ月、その後大きな病院に転勤となり10年ほど勤務した。
その後私は県外転勤となり、30代半ばで思いがけず結婚。家庭を持った今でもパートタイムで医療事務を続けている。ここでは10年ほど勤めていた病院でのエピソードをご紹介したい。
人生の3分の1ほど勤務してきた病院は、私が配属された当初からどの部署も慢性的な人手不足に見舞われていた。
常に募集をかけてはいたようだが、新しい人が採用されても皆すぐに辞めてしまうのだ。仕事内容を覚え終わらないうちに変わった辞め方をする人が多く、スタッフは皆疲弊しきっていた…長年続いたスタッフも疲れ切ったり反発したりで辞めていく悪循環である。もちろん私も「ここ、けっこうヤバくないか……」と退職を願い出たこともあったが、職場と揉めに揉めて神経が鰹節のようにすり減ってしまった。そのため「今日こそ辞めてやるからな!」と思いながら10年経ってしまったのである。これは最早呪いのたぐいではないか…そう思い占い屋で仕事運を見てもらったが
「呪いではないようだが、そのようなオーラの職場は少なからず存在する」
らしいのだ。あまりにも入れ替わりが激しいので、お喋りな人と休日出勤のシフトに入る際は
「○○さんの退職ですが、まだ正式発表していないので話題には気をつけて下さい」
とわざわざ業務連絡が来ていたほどである。
このことを知り合いに愚痴ったところ
「そんなモンスターたち、漫画か小説にして配信してみたら?だってこんな強烈なエピソード、自分の記憶だけに留めておくのは勿体ないよ!」
と言われ、ハッとした。
そうだ。むしろこんな出来事が続くのはある意味奇跡ではないか。一瞬のことだから同僚皆が忘れてしまっても、私だけは『こんな新人さんたちがいたんだなぁ…』と忘れずにいよう。
当時を思い出しながら、しみじみ書いて行こうと思う。彼らは確かに存在していたのだから。しかしながら皆かなりの破茶滅茶な人物で、一生に一度お目にかかればお腹いっぱいだ。
そんな彼らへの敬意として、このエッセイのタイトルが決定した。
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