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~館内 ロビー~
(携帯電話を耳に当て、誰かと話している正史)
正史「ハハハッw何だそりゃ可愛いな。
良いなぁ…俺も その顔一目拝んでみたかったなw」
正史「あ?ぁー…そりゃ俺の息子だからな。遺伝だろ。どうせ遅かれ早かれ………」
正史「(真面目に)…俺は、亮一には…俺の子供には、どうか“普通の生活”を送っていて欲しいんだ。たとえ俺の血が流れていても、俺と同じ運命の路を…歩んでほしくはないんだ。同じ結果に行き着いてしまうだろうからな………。」
正史「勘づかれそうになったら、より一層慎重に行動して監視すれば良いだけだろ。引き続き頼むぞ。他人事だろ」
(耳から携帯電話を離す正史)
正史「ハァ…まったく、会話するだけで疲れる。だから奴を連れて行きたくなかったんだ。だがまぁ、背に腹は代えられん…」
正史「さて、そろそろ俺の方も動くか。」
~食堂~
正史「随分と広く豪華絢爛な食堂だな…。相当腕の良い様々な職人が何人も携わって出来た館なのだな、この屋敷は。」
(食堂の大きなテーブルを指先で軽く撫で、指の腹を擦り見る正史)
正史「ホコリが一切無い…かなり綺麗に清掃されている。」
正史M「館の外壁や窓といい、内部全体も手入れ・清掃が行き届いている。これだけ巨大な館ならばそれなりに使用人が多数いるのが普通だが…無人に等しいこの閑散具合。一体何故(館がこんなにも清潔なんだ?)」
健児「(前の台詞に被るように)どちらさまですかー?」
正史「ッ!」
健児「あ、もしかして真弓君が言ってた、今日泊まるお客様でいらっしゃいますか?どーもぉ!こんな館で良ければどうぞゆっくりして行って下さいね!!」
正史「え、あ、えっと…」
健児「え?…あぁ!すみません、まだ準備が出来てなくて…もう少々お待ちしても宜しいでしょうか?」
正史「あぁいや、たまたまここを通っただけだ。」
健児「あぁそうでしたか!どうぞごゆっくりお過ごし下さい!」
正史「えっと…あの、君は…?」
健児「へ?ボク?あ、そっか!自己紹介がまだでしたね!w失敬失敬w
僕は健児と申します!この館の使用人の1人です!」
正史「へぇ、使用人…ん、使用人ん!?」
健児「はい、使用人ですよ?」
正史「いや、君…使用人ったって、まだあどけなさが残る子供じゃないか!そんな子が使用人だなんて!!」
健児「む!失礼な!ボクは子供じゃないですよー!(プリプリ」
正史「いやいや!だってその背丈で言われても…」
健児「もー!ちっちゃいからってバカにしてー!
じゃあコッチに来てください!証人がいればいいんでしょっ!?
他に証人がいれば僕が子供じゃないって承認するんでしょっ!?」
正史「あ、ちょっ…」
~厨房~
マリー「あ、健児さん おかえりなさい」
真弓「もう食堂の準備の方は…おや、貴方様は。」
健児「もー聞いてー!このお客様ったらボクのこと子供だって!失礼しちゃうよね!?ね!」
正史「あ、ど、どうも…」
マリー「正史様?」
真弓「…健児さん?この方は。」
健児「さっき食堂の方準備しようとしたらバッタリ会ってね?ボクが使用人だって言ったら全然信じてくれなくて!まったくもう!」
マリー「あ、あらら…w;^^」
正史「メイドのマリーさんと、執事の真弓さん。厨房で一体何を?」
真弓「晩餐会の打ち合わせです。今晩は料理により腕を奮ってもらうよう、料理人と相談をしていました。」
正史「晩餐会て…なにもそんな」
健児「そうか!ボクがいつも以上に豪勢な料理を奮えば、子供じゃないって分かってもらえる…!!」
正史「君が作るのか?」
健児「もっちろん!僕は使用人兼、清掃員兼、料理人の1人ですからね!エッヘンプイ☆」
マリー「健児君、かっこいいです!」
真弓「健児さんの仕事ぶりは素晴らしいです。短時間のうちに数多の仕事を完璧にこなすのですから。」
健児「フッフーン!どうですかお客様!これでボクが子供じゃないって(分かったでしょう!?)」
正史「(前の台詞を遮るように)随分と教養が行き届いたお子様ですね…。」
健児「ズコー!!_(┐「ε:)_」
正史「教育者がどなたですか?是非とも私の息子に彼の爪の垢を煎じて飲ませたいものですよ。」
マリー「…正史様?」
真弓「健児さんは、子供ではございませんよ。」
正史「えぇッ!?でも」
真弓「そうゆう"大人"と申し上げれば、ご理解いただけますでしょうか。」
マリー「えっと、何て言うんでしたっけ?ホルモンがどうとか…普通の人とは違うとか…」
正史「あぁ…成る程。つまりは体が小さな大人、ということですか。」
真弓「そうゆうことです。」
健児「ですからずっと言ってるじゃないですかー!子供じゃないって!もう!」
正史「す、すみません…何とも信じ難いと言いますか…理解しがたいと言いますか…」
マリー「(クスクス)まぁ、無理もないですよねw」
健児「マリー君まで僕のことからかうのー!?もう!
確かに身体は小さいけど、結構力持ちなんだから不審な侵入者なんて僕一人でもやっつけれるっつーの!」
正史「いやそれは流石に無理…不審者?」
真弓「如何なさいましたか、正史様。」
正史「そう言えば、最近私が住む街では連続誘拐事件が発生していましてね。」
健児「誘拐?」
マリー「やだ、何だか物騒ですね…」
正史「何か思い当たることや、心当たり、風の噂程度でも良いので…何か知りませんか?」
健児「ん゛ー分かりませんねぇ…」
マリー「どうなんでしょうか…」
真弓「私にも…お答えできません。」
正史「そうですか…」
正史M「全員、嘘を吐いてる様には見えないな…」
健児「あ、だったらあの人に聞けば何か分かるかも?」
正史「なにっ?」
マリー「あぁ、黄金さんですね?
確かに黄金さんなら色々と知ってますから、聞いて損はないですよね」
正史「黄金…?」
真弓「黄金様は、この屋敷にて居候している人でございます。」
健児「いろーんな事を知ってて、いろーんな事を教えてくれる、みんなの先生!って感じです!」
正史「フム…その黄金先生に事件について聞けば何か分かる、と?」
健児「一概には言えませんが、取り敢えずダメ元で聞いてみる価値はあります!でもねぇー…」
マリー「(困り笑顔を浮かべながら)ただ彼は、誰よりもいたずらっ子なので…いつもいろんな方をからかっては面白がるんですよ。困ったことにw」
正史「成程、そうゆう人間か…気を付けます。それで、その黄金さんは何処に?」
真弓「黄金様は…自室は持っているのですが、如何せん…常時不在でして。」
正史「えっ?」
マリー「あ、でも図書室へ行けば十中八九いらっしゃいますよ?
黄金さんは文字通り“本の虫”ですからw」
正史「本の…虫、ですか。」
真弓「それでしたら、晩餐会後に 図書館の方へ行ってみては…」
健児「あ違う違う、今夜の晩餐会は全員来るから、その時でいいんだよ。」
マリー「あっ(軽く手を叩く)そうでしたね。」
健児「その為にも、早く準備と下ごしらえをちゃちゃっと済ませなくっちゃ!」
マリー「おー!」
正史「晩餐会…この館の人が全員来るって、なにもそんなにしなくても」
健児「いぃんですよぉ!これは九十九君(咳払い)…この館の主人様がやりたくてやっているんですから!」
真弓「正史様はただ、おもてなしを受けていただくだけで良いんです。」
正史「そうですか…では、皆さんの作業の邪魔になるでしょうから、私は」
健児「あれ?」
真弓「どうなさいましたか?健児さん」
健児「内線子機から繋がってない音がする…なんでだろ?」
マリー「え?そんな…ホントですね。」
正史「繋がらない?…あぁそういえば。」
マリー「正史様?」
正史「私の携帯電話も圏外表示で、何処にも繋がらないんですよ」
健児「え、ウソぉ?…え゙!ウソぉ!?圏外だ!」
マリー「?」
真弓「これは…機材の故障でしょうか。」
健児「だねー。この館で使える通信機が壊れちゃったんだと思う。」
マリー「??」
健児「ボク、ちょっぱやで頼んでくるから離脱するね!ゴメンそっちよろしく!」
(厨房を出て行く健児)
真弓「承知いたしました。」
マリー「???」
正史「…何処に行ったんだ?」
真弓「機材に関しましては、豪様が長けておりますから…故障の報告と修理の依頼へ行ったのでしょう。健児様のことです。すぐ戻ってきます…マリー」
マリー「は、はいっ?」
真弓「早急に 食堂の準備の方をお願いします。」
マリー「は、はいっ!」
正史「では、私もそろそろ…」
真弓「正史様」
正史「はい?」
真弓「不躾な事をお聞きするかと思いますが…
何故、誘拐事件について調べているのです?」
正史「え?な、何故って」
真弓「先程からずっと疑問に思っていたので…何かご職業と関係が?」
正史「あー…その…」
真弓「…」
正史M「マズい、どう返す?
この老人、さっきからそんなに大した反応をしないからノーマークだったが、俺を観察してたのか?今になって突いてくるか…なかなか面倒だ」
正史「まさか、私はただのしがないサラリーマンにすぎませんよ。」
真弓「…」
正史「ただ、私の職場の同僚の息子さんが、その誘拐事件に巻き込まれたらしくて…他人事言えど、やはり仕事仲間なのでね…何か私にも出来ることがないかな、と。」
真弓「それで探偵もどきを?」
正史「………はい」
真弓「…気持ちはお察しします。ですが」
正史「ッ!?」
正史M「なんだ?急に俺の顔に接近して、立てた人差し指を口に当て…」
真弓「(圧をかけるように且つ静かに)何事も、深く調べても良い事はありません。
“好奇心は猫をも殺す”…くれぐれもこの言葉を、お忘れないように。」
正史M「鷹のような鋭い目で 私を睨んだ。」
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