1人が本棚に入れています
本棚に追加
~館内 廊下~
(長い廊下を走る瑞希と良一)
亮一「ハァッハァ…ま、待って!」
瑞希「!」
(亮一に声をかけられて、思わず足を止めた瑞希)
亮一「ねぇ君、もしかしてこの館の住人?」
瑞希「…。」
(亮一を警戒する瑞希)
亮一「あっ ゴメン…僕、今日この屋敷に一晩泊まることに(なったんだけど)」
瑞希「(前の台詞を遮るように)なんで」
亮一「え?」
瑞希「なんでここに来たの?あなただれ?なまえは?」
亮一「あ、え、えっーと…僕は亮一。実は今日、町で起きてる誘拐事件について調べるために、被害者のお宅に行こうとしたんだけⅾ…じゃなくって!」
瑞希「?」
亮一「えーっと、そのー…あ、も、森の中でキャンプをしようと思ってたんだ!だけど…その…途中で道に迷っちゃって」
瑞希「偶然、この館を見つけたの?」
亮一「う、うん。そんな感じ。」
瑞希「フーン…じゃあ、部屋に一緒にいたの誰?」
亮一「僕の父さんだよ。正史って言うんだ。」
瑞希「父さん…」
亮一「あと他にも、助手の平井さんって人がいるんだけど…今はいないんだよね。」
瑞希「助手?」
亮一「あ、あの…君は、この館に住んでる人?」
瑞希「…うん。」
亮一「そっかぁ じゃあお姫様なんだねっ」
瑞希「…おひめ、さま?」
亮一「だって、こぉーんなに広くて豪華なお屋敷に住んでいるんでしょ?
しかも真っ白で綺麗なドレス。それはもう立派なお姫様だよ!」
瑞希「…これは…無理矢理着せられただけ。」
亮一「む、無理矢理?そっかぁ…あんなに怖いお父さんだもんね。
やっぱり家訓とか(厳しい人なんだろうなぁ)」
瑞希「(前の台詞を遮るように)おねがい」
亮一「え、何?」
瑞希「…助けて。」
亮一「へっ?」
瑞希「…穢されてるの。」
亮一「ケガ…?」
(何かの気配を感じて周りを見渡す瑞希)
瑞希「ッ!!」
亮一「怪我してるの?それって(どうゆう意味)」
瑞希「(前の台詞を遮るように)逃げなきゃ」
亮一「え…?」
瑞希「逃げて。早く。逃げて…生きて。」
(駆けてこの場を後にする瑞希)
亮一「えっ?あ、ちょっ ちょっと??
…行っちゃった。どうゆう意味なんだろ。怪我されたって…」
(ふと、窓から外の様子を見る亮一)
亮一「あ…雨が激しくなってきた。雨粒が強く窓に当たってる音がすごい…あれ?」
亮一「そう言えば、僕が泊まる部屋…何処だっけ?迷っちゃった。
夢中であの子を追いかけたから帰り道が分からなく…ん?」
亮一M「僕はふと 違和感を感じて 後ろを見た」
亮一「…?」
亮一M「そこには 誰もいなかった でもいる。確かにいる。確実に誰かがそこにいる気配がする!」
亮一「っだ 誰ですか!?
見てますよね、館に入った時からずっと。何なんですか?
僕の後ろにずっと着いてきて…一体何が目的なんですか!?」
弥生「ボク どうしたの?」
亮一「…え? あれっ? アレッ!?」
弥生「近くで声がしたから来てみたけど…今日は何しに来たの?もしかして探検して、館に迷い込んじゃったのかな?」
亮一「え、あ、あの…」
亮一M「この館に住んでるのって、あの子だけじゃなかったんだ…。
というかこの女の人、背たけが結構大きい…!僕の背に合わせて前かがみに話しかけて…フワッと良い匂いがして…む、胸が…大きい胸が僕の目の前に…!!」
弥生「ん?」
亮一「あ あああの!今日!一日だけ泊まることになりました!亮一って言います!!/////」
弥生「泊まる…?あぁ、お客様だったのね!
ごめんなさい。勘違いしちゃった」
亮一「いいいえ!だだだ大丈夫です!/////」
弥生「私、長女の弥生と申します。よろしくね 亮一君。」
亮一「よ、よろひくおねがいひまふ…/////」
弥生「ふふっw顔赤らめて可愛い…ねぇ 亮一君っていくつ?」
亮一「へ?」
弥生「私、結構背が高い方なんだけど、
男の子にしては随分小さく見えるなぁって」
亮一「う゛ッ…じゅ、15歳です…これでも」
弥生「え?15歳って事は…中学生!?
やだ可愛いぃー!中学生には見えなーい!」
亮一「わぶっ!?」
亮一M「急に僕を抱きしめた弥生さん。
必然的に弥生さんの大きな胸で出来た谷間が、柔らかくも強く僕の顔を埋めて…
く、苦しいけど…ちょっと嬉しい(*´∀`*)」
弥生「わー髪フワフワー♪頭ちっちゃーい」
亮一「ちょっ そんなに頭撫でないでください!///」
弥生「あっごめんなさい…嫌だった?」
亮一「いやっ…じゃ、ない、です…けど…」
弥生「けど?」
亮一「…思い出す…から」
弥生「思い出す?」
亮一「あっ…いえ、大丈夫です!
その…ちょっと 心地良かったっていうか…」
弥生「あら、気持ちよかった?」
亮一「え゛ッ あ、あの…!///」
弥生「フフッw 亮一君、お顔真っ赤にして可愛い♡
背も小っちゃくてとっても可愛いわ♪」
亮一「~~~ッ///
あ、あんまり小さいって言わないで下さい…
ただでさえ、背小さいのコンプレックスだから…」
弥生「あら そうなの?」
亮一「はい…もう15になるのに 全然背が伸びなくて…他のクラスメイトに追い越されてるような気がして」
弥生「亮一君。大丈夫」
亮一「は、はい?」
弥生「それは悲観的に考えているからよ。こうゆう時は逆に考えるの。『小さくてもいいさ』って。
世の女性には小柄な男性の方が好みって人も多いのよ?いいえむしろステータスよ!希少価値よ!」
亮一「そんなにポジティブには捉えられません!僕には!」
堺「おーい やっちゃーん?」
亮一「へ?」
弥生「あ、さっちゃーん♪」
堺「こんな所にいたんか。そろそろ…って何してん。そん子は?」
弥生「あっそうそう!ねぇあの人から聞いてた?今日この館に人が泊まる事になったんだって!」
堺「へぇー 泊まる、ねぇ。珍しい事あるもんやなぁ。
こーんなオンボロ館に泊まりたい人間がおるなんて。」
亮一「えーっと…弥生さん、この方は?」
弥生「あ、ご紹介しますね。こちら、私のー…大学の友人の堺さんです。
私は“さっちゃん”って呼んでます。」
堺「こんちゃー。よろしゅうな。」
亮一「こ、こんにちは!今日一日ごやっかい…?に、なります!」
堺「はいはいw随分可愛らしい男の子やなw」
弥生「でしょ?w(クスクス」
亮一「堺さんは弥生さん大学の友達…てことは、今日はこの屋敷に遊びに来たって事ですか?」
堺「え?あぁー…いや?遊びに来たっつーか、なんつーか…
その、ウチらが通ってる大学、やっちゃんの家から結構近いんよ。
せやから、一時期的にウチが1部屋借りて居候させて貰ってるってだけ。」
亮一「そうなんですか。…てことは、やっぱりお二人は付き合っているんですね?」
弥生・堺「「えっ?」」
亮一「えだって、お二人、凄く仲いいですし…」
弥生「あの、亮一君?…さっちゃんは女性の方ですよ?」
亮一「…え、女の人ぉ!?」
堺「そんなに驚く程かなw」
亮一「だって!だ…だって胸が!顔が!スタイルが!」
弥生「でしょー?いいですよねぇ…やっちゃんは本当にスタイルが良くって。
まつげが長くて、片目から見える瞳もかっこよくって、足もスタイルもスラーッとしていて…」
堺「やっちゃーんwそんな褒めんなやー照れるやんけw」
亮一「た、確かにボーイッシュ…カッコイイ、女性ですね。
…間違えてしまって すみませんでした!」
堺「ええよええよw結構色んな奴から男って間違えられるから、もう慣れてんや。
そない気にせんでもええで。えー…と?りょういちくん?だっけ?」
亮一「あ、はい。亮一です。中学1年です。」
堺「へぇー中学生…え、中学生なん?その背で!?
いゃーん可愛い!えらい可愛いらしいなぁー♪」
弥生「ねー!可愛いでしょー♪」
亮一M「左から堺さん、右から弥生さんが僕に抱きついてきて、
貧乳と巨乳に挟まれた僕…。
また苦しさが僕を襲ったけど…何だろう、全く嫌な気分じゃない(*ºωº*)」
堺「へぇー腕ほっそいなぁ!まだ全然筋肉付いてないやん。プニプニしとるw」
弥生「わぁー肌の色白い…顔立ちもパッと見女の子みたいですね。大変可愛いらしいですw」
亮一「ハッ じゃなくって!!は、離して下さい!そんなこと言われてもぜんっぜん嬉しくないです!」
弥生「あっ!ごめんなさい…」
堺「嬉しない言うても、顔ごっつゆるんでたで?」
亮一「ゆ、ゆるんでなんかないです!!///
僕は身体細いとか、色白とか、女々しいって言われるのが嫌なんです!男なのに、男らしくないねって…クラスメイトだけじゃなく、担任の先生にも言われて…僕も…早く父さんみたいな大人になりたいよ」
弥生「亮一君…」
堺「あぁーまぁ、中学男子で細身で女々しい言われたら、確かに屈辱的なんやろな。」
亮一「そうなんですよ。しかも僕、虫が大の苦手で…」
弥生「え、亮一君…虫苦手なの?」
亮一「はい。虫全般大嫌いです。それで更に拍車が掛かって、クラスの男や女子から、よくからかわれて…」
弥生「あ、あらぁ…」
堺「まぁー…それは、ドンマイやな。
あ、そうやった。やっちゃんの兄さんが部屋で呼んどったで。」
弥生「お兄様が?私を?」
堺「多分、亮一君達の事やない?どうおもてなすかの話し合いするんやない?知らんけど。」
弥生「そうなんですかね?じゃあそろそろ…」
亮一「あ、あのぅ…すいません」
堺「?どないしたん?」
亮一「その…“きひんしつ”って、どこ ですかね?」
弥生「貴賓室の場所?もしかして亮一君…迷子?」
亮一「さ、最初は真弓さんに案内して貰って部屋にいたんですけど…
真っ白な女の子に部屋を覗かれてると思ったら逃げちゃったので…後を追いかけて、気づいたらここにいたんです。」
堺「白い子?あーもしかして瑞希ちゃんかな?」
亮一「水着ちゃん?」
弥生「“みずき”ちゃんですよw彼女、好奇心が旺盛な末っ子なんです。」
堺「何事にもすーぐ興味持つ癖に、すーぐどっか行って隠れちゃうシャイな恥ずかしがり屋なんやw」
亮一「確かに…色々質問されたと思ったら、すぐどっか言っちゃったなぁ。」
弥生「でしょ?w」
堺「あーちなみに貴賓室はな、あのここの廊下をガー行って、左に曲がる道あるからそこガー曲がって、で銀の甲冑飾ってる先ガー行って、んでそっから右にガー行ってガー行ってガーで着くで。」
亮一「アッハイ」
弥生「さっちゃんwそれが通じるのは関西の人だけですよw」
~廊下~
亮一「えっと…で、これが堺さんと弥生さんが言ってた銀の甲冑か。」
亮一M「あの後、弥生さんからちゃんとした道案内を聞いて、なんとか僕が泊まる部屋の場所が分かったけれど…
うう…ずっと後ろから感じてる視線が消えない…なんでぇ…?
あの視線、てっきり弥生さんか堺さん達の視線だったのかなって思ってたけど……お?」
(或る部屋の両扉の前で足を止める亮一)
亮一「この部屋…なんだろ?ほかの部屋の扉は一枚なのに、この部屋だけ二枚…両扉だ。大きいなぁ…あ、室名札がある。“図書室”かぁ…きっと広くて立派なんだろうな。」
亮一「…ちょっとだけなら、入ってもいいよね?」
**************************
弥生「堺さん…あの子は、今回のエサ、なのでしょうか…。」
堺「ッハァ!?いやいやいや!そらないでしょ!ってかそもそもエサて!まだそんな時期じゃ…あ。」
弥生「はい…もうすぐ、給餌の時期なんです。」
堺「え、えぇ~…そんなまさか…
いやでも、そっか…“奴”の好みではあるもんなぁ…。まだあんな若いのに…15やったっけ?無事に成仏してくれ。なんまんだぶ」
弥生「さっちゃん私…もう嫌です。こんな…家族ごっこ、なんて…ッ」
堺「やっちゃん、もう少しや。もう少しの辛抱で…!」
弥生「嫌!嫌です!私もう、こんな生活…耐えられません!」
堺「大丈夫!何が起きても、絶対に助けが来るはず!…でも…」
弥生「?」
堺「もしも…もしもやで?もしもの為に…ウチらも、“戦える”ようにせなならん…かもしれん。」
弥生「…たた、かう?」
堺「せや。その意味…分かるよな?やっちゃん。」
弥生「…はい。私たちの平穏な生活を取り戻す為なら。私はこの牙を出すことすら、厭いません。」
最初のコメントを投稿しよう!