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これはあまりにも酷かったかもしれない。
いくらイライラしてるからって男女の間にこの発言は絶対にNGだと思った。
俺は見た目どころか、中身まで論外だった。
「……」
彼女はしーんと黙り始めた。
そりゃそうだ。
引いちまうに決まっているだろこんなもの……
「プハハハハァ!」
と、思ったら笑いを堪えていたみたいだ。
「人を爆笑させる天才っすかお兄さん」
いやボケたつもりはないんですけど……。
「いくらジョーダンとは言え、本気だったとしても付き合うのは難しいっすね〜」
ほら見たことか。
結局人は見た目ってこと……
「だって自分……
"男"っすもん♪」
「……」
ん?男?……え?キミ男の子?男の娘⁉︎
マジ驚いて聞き返そうとした瞬間、タイミング悪く夜空に花火が撃ち放たれた。
「うおお、綺麗っすね〜!これを待ってたんすよ〜!」
花火のように目をキラキラと輝かせる一人の美少女……いや美少年。
「キミの方が綺麗だよ」
「ちょっとお兄さんやめてください!マジで笑いが止まらなくなるから」
大量の花火が打ち放たれる中、この子のためにこれ以上場を悪くするのはやめることにした。
「あっ、あの花火すごい歪〜。だけどとっても印象に残る。まるでお兄さんのように♪」
「褒めてないことはなんとなく分かるよ」
「お兄さん、結局帰ると思ってた。自分を女だと勘違いしてたみたいだったからその気があるんだと思ってた♪」
「そんなわけないだろう」
「ええ?まさかコッチ系?」
「そっちでもねえよ!ちゃんと女の子が大好きじゃい!」
同性同士と分かった今、俺は気兼ねなくイケメンと会話が出来た。
まるで弟が出来たようでそのまんまの自分が曝け出せた。
「あーあー、こんな綺麗な花火、フラれてなけりゃ今頃彼女と見てたんだろうな〜」
おっさんの如くぐったりくつろいで俺は俺なりに花火を楽しむポーズをした。
「マジそれな!」
と言いながらやつは俺のお腹を枕代わりに頭を置いた。
おい、男同士でこのスキンシップはやめろ!誰かに見られたら勘違いされるだろ。
そして男にしてはいい香りするが、騙されるな!コイツは男なんだ。モテないからって変な気を起こすんじゃないぞ俺。
「でもいいじゃん。こうして一緒に見てくれる"私"がいるんだからさ♪」
「ああ、そうだな。未経験の童貞同士、こっちはこっちで話に花でも咲かせましょうかい」
「そうだね……未経験同士、恋バナでもしちゃいますか?」
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