綺麗な花火

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断られたってのに、俺は未だに河川敷のとこで夏祭りを楽しむ奴らを羨むように見下ろしていた。 否、妬ましく見下(みくだ)していた(見下す要素ないんだけどな)。 家族や友人で来ている者はまだ見ていて耐えれる。 だがほとんどはカップルばかりで見る度に殺意を抱きまくっていた。 はぁやれやれ何やってんだ俺は。 彼女どころか友達もいないんじゃ夏祭りに来たってしょうがないじゃないか。 ここはもう大人しく帰るとしよう。 そうしようそうしよう、と祭りを楽しむリア充どもに尻尾を巻いて逃げるが如く立ちさろうと思ったその時……。 「おや、お兄さん一人ですかい?」 一人の、小柄な女の子に声を掛けられた。 めっちゃ可愛かった。 ドキッとした。 しかしこの『ドキッ』は残念ながらときめいたときの効果音ではない。 「ええ〜!夏祭りに一人で来たとかマジ有り得ないんですけど〜。ここはお兄さんのような素朴な陰キャ童貞野郎が来るような場所じゃあないんすよ〜?ゲラゲラゲラ」 ……と陰キャな俺に向けてリア充様の罵倒が飛んでくるんじゃないかという恐怖の『ドキッ』なのである。 俺は自然と身構える。身構える意味ないんだけどさ。 さぁどんな罵声でもかかって来い!俺はお前らのようなイケイケに何を言われようと明後日までには綺麗さっぱりメンタルを回復させてやるんだからな! 「もし一人だったら、話でもしませんかい?一緒に祭りを楽しむバカップル共を見下しながらさ♪」
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