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「俺はともかく、心配しなくてもキミにはすぐ恋人ができるだろ?」
容姿がいいし、性格明るいし、接しやすいし。
俺には高嶺の花過ぎて手は出せないんだがな。
「何すかお兄さん、ひょっとして占い師っすか?」
占い師じゃなかろうと誰もが彼女を見て心配いらないと思うだろうな。
「そうだ占い師だ。キミの背後には矢を今にも打ち放たんとするキューピットのオーラが見えるよ」
相手のボケに付き合ってみると彼女はブフーっと俺の顔に唾を吐き散らかすように笑いこけた。
「キューピットって何すかそれ〜。もう次の恋愛がすぐにでもあるって感じっすね」
「そうだな……俺はそんなキミが羨ましいぜ」
祭りの場所とは違い、ここは辺りが暗くて助かった。
今の俺は人に見せられない皮肉な笑みを浮かべてるから。
「羨ましい?」
彼女は可愛く首を傾げる。
「俺はキミと違って陰キャの中の陰キャだ。いくら性格を磨こうと、結局人は見た目を最優先に選んじまう」
生を受けた瞬間から、もうこの世の人生は決まったようなもんなんだ。
「つまり、俺はハズレを引いた。キミは大当たり。自然と相手から恋愛を持ちかけてくるから、キミはそのまま待ってりゃ良いんだよ」
「……」
彼女は何か言いたげな雰囲気を醸し出している。
まあ否定できる部分なんて何一つないから言い返せないだろうけど……、
「自分は、見た目が全てじゃないと思ってますよ」
「……っ」
「自分はお兄さんのこと好きっすよ。こうして見ず知らずの自分に付き合ってくれて。しかもお兄さんと話せて楽しいと思いましたし、どうしてこんな人を彼女さんがフッたのか皆目検討も付かないっす」
分かったような口を聞くなよ……!
「だったらさぁ、お前、
俺と付き合うこととか出来んの?」
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