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むかしに家の前で野良猫が沢山子猫を生んでいたことはあったけれど、ここまで心もとないことはなかった。もう少し生き物らしいバランスで体が作られていた。
そう考えながらミナは恭しくタイキを差し出す。自然中腰になって、両腕は慎重に平行を保ったまま前へ突き出される。ゆっくりと、血の袋が破けないよう。
あやのはそれを慣れた様子で受け取ると、体ごと揺れながら話を続けた。
「パパがママを傷つけたのは最悪。それでママが泣いたり怒ったりして、パパがあやすみたいにしてるのも最悪。でも一番嫌なのは、タイキのことでみんなで協力できないこと。生まれたばっかりで、何も出来ないタイキが可哀想。すごく待ち望まれてたのに、みんなで退院してきたママとタイキを囲んで写真も撮ったのに、今ではなんとなくパパとママの離婚の障碍みたいになってる。なんでだよって思う。どうしてこんな事になっちゃったのかなって」
話しながらあやのの気持ちが高ぶるのが分かったが、それでも声は荒らげず、体は無関係に一定のリズムで揺れ続けていた。話の内容よりも そのあやのの姿にミナは無力さを覚えた。
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