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演算器を検索するコト。
「あったか?」
「何枚使うの?」
卒業後の進路は学生にとって大きな悩みの種だった。
受験で延長されたモラトリアムも最高学府まで来てしまえば後は就職だけだった。
病因の待合室に学生の姿は少ない。
「エイブル、お待たせ」
ポスターを眺めていたら呼び止められた。
コトは右手に紙片を持っていた。
「次は薬局?」
「消炎鎮痛剤が出たみたい」
「そう」
長期休みが終わった九月、試験管のアルバイトに来ていたら事件に巻き込まれた。
対立する王党派と同盟の学生組織が学園の中央広場でやり合っていた。
学内自治の名目から司法関連の官憲は来ていなかった。
王党派とはドリアンの王を立てる派で、生得的身分制度を主張していた。
同盟は身分制度反対派の同盟で時折武力闘争と成って居た。
幸い骨折等は無く重大な異常は無かったらしい。
薬の受け取りに復一時間ほど時間がかかった。
広場の衝突は未だ鎮火していないようだった。
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