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「どうした?」
助手席のドアに手を掛けたまま立っているコト。
「ちょっとね」
事後処理を自治会に任せ帰路に着いた。
渋滞で車の進みが悪い。
「窓、閉めて」
”窓を閉めます”
車載演算器がコトの声を拾って窓を閉める。
夕暮れのアドストル。
道行く人々は既に夜の装いだった。
「何時まで続くんだろう」
遮音されたが、街頭のアジテーションが気になったらしい。
コトはショルダーからタブレットを取り出しファイルを眺めだした。
「大学に残るのがいいのかな」
「未だ何も残せてない?」
「エイブルは?」
「逃げてしまおうかと」
渋滞は何処までも続いているかのようだった。
後ろから緊急車両が接近してきた。
「事故?」
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