非モテ君と恋愛処女さんの恋の行方

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タカシ。小学生。 公立幼稚園からの公立小学校。 幼稚園組は殆ど顔が割れている。 その中に彼女がいた事が凄く嬉しかった。 もう彼女の言動を見るのは癖になっていた。 まだ、恋に気がついていない間は、本当にただ見ているだけだった。 同じクラスになった時は嬉しかったし、違うクラスになった時はすれ違うだけでも嬉しかった。 幼稚園の時は、ただ何をやるのも丁寧な子、だけのイメージだったが、小学生ともなるとそれだけではなくなる。 可愛い服を着ている時は可愛いなぁと思ったり、グラウンドで整列している時はいつも前から数えた方が早いな【背の順】と思ったり、ランドセルにつけているキャラクターに目が行ったり、、、 それが多分恋であると気がついたのは高学年になってからだ。 何故分かったのか? それは課外授業のキャンプに行った時の写真が廊下に貼り出された時、たまたま彼女と他の男子がツーショット【作業中】を見てしまった時の話だ。 別に付き合ってるとかそんなんじゃないのは分かっていたけど、皿を洗う彼女の一つ横で他の男子も皿を洗っているというたまたまツーショットだったのだが、俺はそれが堪らなく嫌だった。 こっそりむしりとってやろうかと思った位だ。実行はしなかったが、、、 そこで俺は初めて【焦り】というのを感じた。 しかしかといって俺は何にも出来ない。 クラスで目立つ陽キャの様にはなれない。 そもそもそれを相談出来る相手もいなきゃ、【好きな女の子がいる】という中途半端な恥ずかしさも相まって、俺は悶々と悩む日々を続ける様になった。 【好きな女の子】と認定してからは、逆に今までよりも更に意識してしまう事になり、ある意味、嬉しさ半分、辛さ半分、そして何より他の男子と付き合いませんように、、と祈る事しか出来なかった。 意識をし出してからは、そんなはずはない!と自分を宥める為に敢えて彼女のあら探しもした。 しかし知れば知るほど、彼女は魅力的なのだと痛感せざるを得なかった。 相変わらずの丁寧さは勿論の事、誰も気にしていない黒板消しや掃除のやり残し、給食の遅い子への声かけ、そしてどんなに悪口対決が始まっても、彼女は人を貶める様な事は一切言わない。 かといってクラスメイトともそれなりに仲良くし、男女関係なくやることはやる、そういうタイプだった。 俺は一本筋の通った彼女に、人としてもかなり好感を持てた。 しかし、中学に上がる前に彼女にはどうやら好きな男子がいるという事を小耳に挟んでしまった。 俺のショックは並大抵のものではなかった。 結局その男子が誰か分からず仕舞いだったが、顔も名前も知らないその男子に俺は敗北を感じていた。 俺には何も出来ない、、、
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