愛おしい日々

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私が旅に出た理由は、お父様にあることを言われたからです。 それは…… 亡くなった私の母のことと私自身に秘めた力のことでした。 その力は、母が亡くなる前に、継承されたこと、そしてその力は凶暴なもの達に狙われることがあると、まだ候補だから今は、大丈夫だけど、選ばれたら、狙われないように隔離されると云うことを聞かされた。 私はそんな力があることも信じられなかったし、それにお父様の言葉にも納得がいかなかった。 母は、私が4歳の頃に、亡くなってしまったから、顔は写真でしか思い出せないけど、いつも優しくて笑顔で、怒ることなんて一度もなくて、とても穏やかな人だった。 それなのに、どうして凶暴な人に狙われるのかと、信じがたかった。 私が強く反発すると、とても申し訳なさそうに頭を下げ、泣きそうな態度になってしまった。 「それは…後継者という、宿命なんだ」「すまない、出来たらお前には背負わせたくはなかった」 「回避するための方法を探したが、“神”の意思には敵わなかった…」「本当にすまない…」 苦しい思いをしているのは、お父様も同じ、だから、何も言えなくなってしまった。
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