プロローグ

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プロローグ

そこは一面、緑色の世界だった。 目に優しい黄緑や緑の芝生が広がり、彼方の方角に見えている空との境目には木々が生い茂っているのが見える。そしてそのさらに向こう側には巨大な山脈があり、大気圏へと突き抜けるようにそびえ立っていた。 「わあ……」 思わず声を漏らして見惚れてしまうほどに綺麗で、気持ちのいい場所だ。 青々とした葉っぱの匂いが鼻腔を満たして、心が落ち着くような気がした。 「やっと、ここまでこれた…」 思わず、胸を撫で下ろした。 休みなく、散々無理に動かした体は鼓動と共に、激しくドキドキとしている。息も荒く、疲れていたのだと気がついた。 すっと頬に大粒の汗が流れ、顎に伝い落ちていく。 今までずっと、砂が多く乾燥した砂漠ような場所をひたすら、走ったり歩いたりを繰り返し、ここへと続く土手に辿り着いたのだ。 土手を登るのだって、一苦労だった。 こんな素晴らしい景色に出会えるなんて、思いもしなかった。 初めて、外の景色をはっきりとこの目で見たのだ。その感動は、胸がいっぱいになって計り知れなかった。
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