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亘一 早起きは三文の得
今朝は早く学校に着いた。早く目が覚めたからだが、学校に着いてから眠気が襲ってきて机に突っ伏して仮眠を貪っていると姫の軽やかな声が聞こえてきた。何か文句を言ったりお願いしたり、どうやら何かの仕事的な話らしい。そこで急に
「これは佐藤くんの分担でしょ。」
姫の強めの声で目が覚めた。声の方に顔を向けると、突然俺が起きたからか、ビックリしたらしい姫とあっちの佐藤がこっちをみた。姫が慌てて
「ごめんなさい。佐藤さんじゃなくてこっちの佐藤くんに文句を言ってただけだから。」
と謝ってきた。寝ぼけてた俺は疑問をそのまま口にした。
「なんで、そっちはくんで俺はさん?」
姫はさらに慌てて
「あれ?なんでだろ?あ、佐藤くんは一年から一緒だから?なんか一年の時、皆佐藤くん呼びだったよね?」
「あの頃、タイトルに佐藤くんがつく漫画がクラスで流行ってたからな」
あっちの佐藤も頷く。あーあの漫画ね。一時期流行ったねぇ。俺のことは下の名前で呼ぶ奴が多いから気にならなかったが。なーんだ。区別つけてたんじゃないか、姫は最初から。
突然後頭部を叩かれ、机に倒れた。
「おっはよー。亘一。今日も目で人殺しそうだぞー」
声が大崎だ。
「おはよー蔵瀬さんに佐藤。それ何の紙?」
「あ、おはよう。今度の交通整備係のだよ。」
強打したおでこが痛い。だが、顔を伏せたまま、俺は喜びを噛み締めていた。
あのチョコは正真正銘、俺宛の本命チョコだったと。
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