MESSAGE.2  体育祭

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 結局、応援団も佐久真の独壇場となった。  法被、手袋、学ラン……その姿でバク転なども繰り出し、一気に全員の注目を集めたおかげか大量の票が入り、A組が難なく1位を獲得した。大喜びしていたのは、先輩達だった。  「羽森くん、多分この後が大変だよ。」  「え? なんで?」  席に戻り、競技が再開されたのを見つつ、横に座る佐久真に声をかけると、予想通りの反応が返って来る。  反対側から、咲綾も口を挟んだ。  「そうそう! なんか体育祭って、運動部が帰宅部をスカウトするための行事、とか裏で言われてるらしいんだよね。」  「なんだそれ……」  「今日さ、マジで羽森くんの独壇場だったじゃん? 絶対明日から、嫌になるほどスカウトが来るよ。この長湯ペアが保証する。」  心底めんどくさい、という顔をしていた佐久真は、ふとこちらを見てきた。  「ちょっと待て、長湯ペアって何だ。」  咲綾と顔を見合わせてから、少し笑って口を開く。  「長谷明日香と湯村咲綾の頭文字を取って、長湯ペアだよ。ずっと一緒にいるから、先生達につけられたの。」  「いや、つけたの教師かよ。で、絶妙にネーミングセンスと語呂いいのなんなんだ。」  そう言いつつ、佐久真も笑いが堪えきれていない。笑いながら膝に目を落とせば、絆創膏には血が滲んできている。  応援団は普通に出てしまったし、ダンス部だからと結構躍ったから傷が塞がりきっていないらしい。  「明日香、私が持ってる絆創膏貼っとく?」  「あ、うん。もらう。」  慌てて絆創膏を外し、封を切っていなかったペットボトルを開け、水をかけて洗う。差し出された絆創膏を当てようとするが、傷の方が一回り大きかった。  「わ、どうしよ……。」  「ん、これ使え。」  佐久真が差し出してきたのは、保健室に置いてある大きな絆創膏。どうやら、さっき先生に頼んで持っていたらしい。  「ありがと……。」  恥ずかしいのか嬉しいのかよく分からない感情が湧き上がり、佐久真の目を上手く見れなかった。
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