MESSAGE.1  転校生

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 私は、知らなかった。羽森佐久真という転校生の「本当の姿」を。  急に転校してきた理由、私に馴れ馴れしく話しかけた理由——全てはこの時から始まっていた。  「周りとの違い」は、思った以上に私を苦しめていた。  何度言い聞かせても、一人で泣いても、咲綾に話しても、何をしても変わらないままだった。  自分で抑え付けることで、全てをどうにかしようとしていたのかもしれない。見て見ぬふりをしたかったのかもしれない。  でも、それは私の知らない所で、少しずつ心を蝕んでいた。笑顔の仮面で覆い隠したSOSは、誰にも気が付かれなかった。  私が、頑張ればいい。前向いて、笑顔でいればいい。  ただ、それだけを思って生きてきた。それが私だった。  だから……佐久真が、全てを変えてくれるなど、この時は思っていなかったんだ。
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