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レンタルDVD屋にて
「っせー…」
「これ宜しくお願いし、」
「……」
「……」
「あ…相沢…?」
「…やっぱり有島か…?」
「……」
「……」
「なんでこんな所で働いてるん…」
「…時給が良いからに決まってるだろ」
「此処レンタルエロDVD屋なんだけど?未成年」
「その言葉そっくり返すぞ未成年」
「…取り敢えずこれ貸してください」
「…全部ゲイビだぞ」
「客の趣味にケチつけるな。てかこれは資料なんだよ」
「資料って…何の資料だよ」
「いや、あの、仕事の…」
「お前蔭間やってんの!?」
「違うわ!!官能BL作家だよ!!!
「え」
「あ」
「……」
「……」
「それは、未成年がやっていい仕事なのか…?」
「ぶっちゃけ駄目だと思う」
「有島も大変だな…」
「いや、この仕事楽しんでる」
「マジかよ…そういえば、ツレもBL雑誌の編集やってるわ…」
「え、相沢彼女いるん」
「いや、かの…じょ…?か…?」
「何ではぎれ悪いん。男か?」
「えと、え、あ、
「お前も男居るん!?」
「も!?」
「え、」
「あ、」
「……」
「……」
「…因みに、どんな男なん」
「…カラス…みたいな人…」
「…へえ…俺の編集と似た人だな」
「ちょっと待て、有島何の雑誌やってるん?」
「え…ボーイズラヴァーランドってやつ」
「…マジで…?」
「え」
「俺のツレ、そこで編集やってる…」
「え、ちょっと待ってまさか」
「まさか担当って」
「「矢野クロスケ?」」
「……」
「……」
「「…マジで…」」
「……」
「……」
「取り敢えず、LINE交換する?」
「そうだな…なんかこれ縁な気がするし…」
「………うん。登録出来た」
「なんか…また話そうな…」
「うん…小説の資料に色々聞かせてね。…いくらですか」
「500円になります」
「此処レンタル安くて助かるよ。年齢確認無いし」
「まあそうでもしないと潰れる個人店だからな」
「いつもお世話になってます…」
「あっハイ…ご贔屓ありがとうございます…」
「…じゃあ…また来ます…」
「一週間で返しに来いよ…」
「うん…では…」
ガチャン、とレンタルDVD屋の入店口のドアが閉まった。
相沢タダノブは、その運命の様な偶然に溜息を吐く。
その奇遇は続くのだが、それは少し先の話になるのだった。
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