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「僕、困ってる人は助けたいけど、変身はしたくないな……」
読み聞かせが終わった後、英斗は言った。
「ん? なんで?」
恵梨香が首を傾げると、英斗は堂々と答えた。
「だって、お母さんが分からなくなっちゃうでしょ?」
それを聞いて、恵梨香は思わず笑った。
「も~大丈夫だよ! 外見が変わっても中身は英斗なんだから! それにほら、ピエロのぴーくん、最後見たでしょ?」
恵梨香は徐にページを開き、絵本の最終ページをもう一度英斗に見せた。
変身しすぎて自分の姿を忘れてしまったピエロのぴーくんは、友達によって助けられる。どんな顔だったか、どんな体だったか、そしてどんなに優しい子だったか、友達は事細かくぴーくんに説明していくのだ。
ああでもない、こうでもないとみんなで試行錯誤しながら、ぴーくんは最終的に元の姿に戻る。
「だから大丈夫なの! もし英斗が変身して元に戻らなくなっちゃっても、お母さんが元に戻してあげるからね!」
恵梨香が笑ってみせると、英斗はなんだか小っ恥ずかしくなって、母の胸に飛び込んだ。恵梨香はくすりと笑いつつ、愛しい我が子を抱きしめた。
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