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「それにしても、物置とは思わなかったな……」
「え?」
瑠衣はおどけたように見つめると、彼女は続けて説明した。
「ここの物置ね、先週から鍵がなくなってて開かないし……だから、まさか物置の中にいるとは思わなかったのよ……」
瑠衣はふたたび物置を見た。外側から見ても無理やりこじ開けたような跡はない。
──それにさっき鍵が開いた音が……
「先生じゃないの?」
瑠衣は思わず問いかけた。
「え? なにが?」
しかし、彼女は何を聞かれているか分からない様子で、彼女が別の鍵を使って開けてくれた可能性は低かった。おそらく物置の鍵を盗んだのは愛美で間違いないだろう。
──もしかしたら、最初は元希くんを閉じ込める予定で……
そこまで考えると瑠衣はようやく本来の目的を思い出し、急いで状況を説明した。元希の身が危ないことと、愛美がいかに危険な人物かについて。さきほど起きた出来事をありのまま彼女に伝えた。
「そんな……それ本当なの……?」
彼女は終始信じられない様子だった。
「ほんと! 先生信じて!」
それでも瑠衣が必死に訴え続けると、最終的には全部本当のことなのだと信じてもらえたようだった。
「わかった……じゃあすぐに園長先生に伝えよう」
ガムテープが完全に剥がれたのを確認すると、彼女は瑠衣の手を引いた。
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