ユイと結

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 せのぱーくは、居心地がいい。  瀬野(せの)市民活動センター、というのが本当の名称だけれど、それじゃ固いし若者が来そうもない、ということで、「公園みたいに、老若男女みんなが集まって活用できる」ように「せのぱーく」という通称がつけられた。  確かにちょっとかわいい響きになって親近感がわいた。「せのぱ」と略す人もいる。  部活をしていないから、学校が終わるとここに数時間いて、勉強したり、iPhoneでYouTubeを見たり音楽を聴いたり、置いている雑誌を読んだりTVを観たり、二階にある図書館に行ったりする。結構使える場所。ほかに防音スタジオが三つあって、楽器を背負った人たちが練習しに来たり、活動スペースという、習い事や講習会をする部屋が四つ、キッチンスタジオでは料理教室、小さい子供を預かる保育室と大きい子供を遊ばせるキッズスペース、使っているのを見たことがない会議室もある。   きれいに磨かれた大きい窓の外は日が沈んでオレンジ色の外灯が灯り始め、「せのぱ」のすぐ近くにある駅から出てきた人たちが夕暮れの中を早足で通り過ぎていく。その後ろ姿を眺めると、そんなに急いで帰りたいくらい、いい家なのだろうかと考えてしまう。  壁の高いところにある大時計が午後六時を指し、脇に置いたリュックの中にノートやイヤホンや飲みかけのペットボトルをしまい込んで立ち上がると、「はー」とため息が出る。いつもきれいに磨かれている床の上を、これってスカートの中が映っていそうだなあと思いながらたらたら歩き、さっと開いた自動ドアから外の風が一瞬にしてまとわりつくと、リュックの肩ひもを握る手に力が入る。  駅前の大通りを抜け住宅街に入ると、あちこちから夕食の支度をしている匂いがする。カレーのところはすぐわかる。魚を焼いているところも。  玄関を開けると、おかえりい、と言って、ピンクとグレーの水玉模様のエプロンをした昌行(まさゆき)さんがキッチンから顔を出した。いつも通り、温厚そうで遠慮がちな笑みを浮かべて。  昌行さんは母の恋人だ。ただいま、と小さい声で言うと、おかえりぃ、とのんびりした母の声が奥から聞こえてきた。私の声が届いたのではなく、たんに昌行さんのおかえりという声に倣ったのがタイミングよく聞こえてきただけだ。もともと私が帰宅しても何も言わない。  手を洗ってスウェットとTシャツに着替え、靴下とハンカチと制服のシャツを洗濯ネットに入れて部屋の隅に置く。キッチンに来た私を見ると、 「お、じゃ、焼こうか」  と昌行さんはほくほくとグリルの前に立った。  テーブルを見るとスライスしたバゲットを大きめのプレートに盛り、スープ、サラダ、チーズが用意されている。  母がTシャツとスウェット姿(私の原色使いのデザインとは違って、シックでシンプルなものだけれど)でキッチンに来て、椅子の背に両手を乗せてのぞき込む。ウエーブのかかった肩に届くくらいの長さの髪を結わえて、家にばかりいるので細くて白い首筋をのばし、 「おいしそう」  とつぶやくと、冷蔵庫からワインを出し、底の丸いグラスを二つ用意した。  魚が焼けるにおいに、ニンニクとハーブの香りが混じる。昌行さんはおいしいものを食べるのが好きで、気に入らないものを買って食べるくらいなら食事を抜くという人だ。母や私よりも上手なので、一緒に住むようになってからずっと昌行さんの手料理を食べている。  エプロンを外した昌行さんが席に着くと母がワインを注ぎ、いただきます、のあとは皆でもくもくと食事をする。全員が無口で、むだなことは喋らない。ときどき母の、「おいし……」というつぶやきや、昌行さんの満足そうなため息が聞こえるだけだ。私は食事中にドリンクはいらないので、かぼちゃとベーコンのスープを木製のスプーンですくい、チーズとバゲットを取って小さく食べていた。 「魚と野菜も食べなさい」  こちらを一瞥もしないで母がけだるく言う。三角食べのようにまんべんなく手をつけろという意味だけれど、あまりいろいろな味を口の中に入れたくない。  昌行さんはこういう母娘(おやこ)の話は、聞いているのかいないのか口出しはせず、かといって困った顔もせず、神仏のように穏やかな表情でそこにいる。  皿洗いを手伝ったあとは自分の部屋でやり残した予習をして、部屋の隅に置いていた洗濯ネットと着替えを持って風呂場に行き、自分の洗濯物を淡いピンクの縦型洗濯機に入れる。去年までは母のと一緒に洗ってもらっていたけれど、昌行さんが来てから分けて自分で洗うようになった。ドライヤーで髪を乾かして部屋に戻り、洗濯が終わるまでヘッドフォンで音楽を聴く。この時間が一番好きだ。  部屋には昌行さんと同居するのをOKする条件として鍵をつけてもらった。  専業主婦だった母は三年前に離婚して生まれて初めてフルで働き、コンビニと清掃の仕事を掛け持ちする生活を続けて一年後に体調を崩した。今は家で寝たり起きたりの生活をしている。事情を知った実家がこの築二十五年の一軒家を母のために買い取り、その頃から経済的にも援助しているらしい。  清掃の仕事で瀬野市役所に行った時に職員である昌行さんと知り合い、清掃スタッフの中でも若くて目立つ母は時々挨拶されたり、たまに立ち話もして、仕事を辞めたあとお付き合いするようになった(これは以前、ふざけてなれそめを聞いたときに昌行さんから恥ずかしそうに打ち明けられた)。  そして、去年の夏ごろ、「むすぶちゃんと話がしたい」と母伝いに言ってきた。 「絶対いや」  中学三年の夏休みだった。冷や麦をとる箸がとまる。猪口の中のめんつゆもしんと動きを止めた。  塾に行かず毎日家で問題集を解きまくっていた。第一志望の瀬野高校に入るまで気を抜かないと決めて、朝から夕方までずっと部屋にこもっていた。そんな時にほかのことで気を煩わせるなんてありえない。 「一回だけいいから会ってみてくれる?」  母は静かに言った。  離婚し生活のために大人である母親がした苦労と、未成年で生活の面倒を見てもらっている私が自分の将来のためにする努力はどっちが偉くて尊いのかわからない。  向かいに座る美しく整った顔がめずらしく真剣な表情をしているのを見ると、自分がわがままな人間みたいに思えてくる。 「一回だけね。でも、登校日の昼にして」  登校日は午後からしか時間が空かないから、いつもみたいに勉強のスケジュールはタイトじゃない。それでその日に会う約束をした。    ホテルのカフェに制服姿の中学生がいること自体、浮いていてとても恥ずかしかった。大人二人のそばで、「この人たちの連れで、こんなところに用事なんかないんですから」という顔をしてかろうじて自分を保っていた。  そのせいもあり愛想はなかったと思う。自己紹介のあと私たちのテーブルだけ会話がなく全員黙りこくっていた。  ろくに話もできずに帰った後、「もうちょっと話してほしかった……」と母はくたびれたように言ったが、私も疲れて眠ってしまった。  夏休み明けの実力テストが済んだころ、また三人で会わないか、という話が出た。 「もちろん、勉強の邪魔にならない日でいいのよ」  あきらめない口調で言われると押し切られそうな嫌な予感がする。 「こういうプレッシャーが精神的に邪魔なんだけど」  とはっきり言ったら少し考えて、わかった、と答えた。  正直、ずっと勉強していると飽きてくるときがある。母はそういうバイオリズムを目ざとく察して、今度の日曜、東口にできた新しいカフェに行ってみない? などと言ってくる。    母と二人きりのときも、離婚した実の父と一緒にいたときも、外食はほとんどしなかったから、何を着ていけばいいのかわからない。  ホテルに行ったとき、同じくらいの年の子が母親らしき人と一緒にいるのを見て服装を素早くチェックした。それを思い出しながら、手持ちのカットソーの中からおとなしめでこぎれいな色とデザインを選び、ボトムスはデニムしか持っていないのでそのまま、靴はサイズが同じ母からベージュのコンバースを借りた。  二回目に会うと、ぐっと距離が近くなる感じがした。たぶん、初めて会った時があまりにもみんなで緊張していたのだろう。  昌行さんはカジュアルなグリーンのシャツに明るい色のデニムで、母はブラウンのワンピースにオープントゥのアンクルストラップのサンダルを履いて、二人並ぶとお似合いだった。  ほかの人から見たら、このテーブルにいる三人は親子に見えるのだろうか。そう考えると、親子に見えるふりをしなければいけないような、反発したいような落ち着かない気持ちになり、手もとにあったランチセットのアイスティーをつかみ、ストローに口をつけると勢いよくすすった。  ケチャップをのせた部分できれいにオムレツを半分食べたところで昌行さんは紙ナプキンで口元をぬぐい、 「僕としては、むすぶちゃんの返事を急ぐつもりはありません。受験の大事な時期だし。でも、将来的に僕とお母さんが一緒になることを許して……というか、認めてもらえたらうれしい、です」  と中学生相手に生真面目に言った。  母はカフェオレのストローをいじって黙っている。 「今は、なんともいえないです。すみません」  それだけ言って下を向いた。 せっかく注文したパニーニも食べる気が起きず、お皿の上は運ばれてきたときのきれいな形のまま、中のチーズが冷えて固まっていった。  その後、三回くらい会った。同じカフェの時もあれば、中華料理屋でラーメンを食べた時もあった。昌行さんとは事件やニュースの感想、学校や勉強のことを食事をしながらすこし話したが、母はただ黙って聞いていた。  年が明け、梅の花が咲いたのも、桜のつぼみが膨らんでいるのも気がつかずに受験を終えたある日、リビングの窓際に座ってぼんやりしていると、空がすごく青い、とひたすらそれしか思い浮かばなかった。  解放されて身も心も自由のはずだけれど、気分的にぱっと明るくなるかと思ったら、お金もないし、何をしていいかわからなくて時間を持て余す。やることがないのは、勉強に追われているより不安で心細いところがあるけれど、第二志望の夏目(なつめ)女子には受かっているし、新しい世界が待っている、と思うと漠然と楽しい気分にはなった。 「ちょっと、いい?」  母が窺うように話しかけてきた。「昌行さんのことだけれど」    今日も「せのぱーく」の一階で、ラウンジの四人掛けテーブルを陣取り、(平日の午後は比較的人が少ない)机の上に突っ伏して目を閉じていた。 さっきまで開いていた教科書とガイドとノートをそのままに、ちょっと休憩している。  第一志望の瀬野高校には入れたけれど、次は他県の大学に行くという目標ができてしまった。もともと高校に入ってから後のことをはっきりとは決めていなくて、母と二人暮らしのままだったら地元から出ようと思わなかったかもしれない。 「ここ座ってもいい?」  ふいに話しかけられ顔を上げると、肩下くらいのまっすぐな髪で、チェックのプリーツスカートにくすんだオレンジ色のベストを着た子がテーブルの向かいに立ってこちらを見下ろしている。瀬野高に落ちたら行くはずだった夏目女子の制服だ。  どうぞ、と言うと赤茶色のボストン型スクールバッグを椅子に置き、開いたテキストにちら、と視線を落とすと正面に座った。 「上野昌行(うえのまさゆき)っておじさん、今そちらのうちにいると思うんですけど」 「え?」  どきっとした。妙なことを言う。  向こうも視線をそらし、何か迷っているふうだ。互いに黙り込む。するとふいに、 「私のパパなんです」  と真剣な目をして言った。 「はい?」  つい大きめの声が出てしまって、あわてて「えっと……、それで?」とトーンを落とした。「つまり?」 「私のパパが、あなたの家にお世話になっているんです」  思い切ったように言うと、小さく息をついた。  ユイちゃんは、結と書いてユイと読む。私の名前と字は同じ。  半年前に昌行さんがユイちゃんのママと離婚して家を出た。 「去年の九月、東口の新しいカフェに三人でいたでしょ?」  昌行さんと二回目に会った頃だ。 「なんか家族みたいで、悔しかったぁ……」  ユイちゃんのママと別れていないうちから母や私と会っていたのだ。 「ママとお昼食べに行ったらよそのテーブルにパパがいてさ」  あの日、居酒屋を経営するユイちゃんのママは午前中いつも通りゆっくりしていて、昌行さんはひとりでランチを食べに出掛けた。食べ歩きが好きだからこういうお出かけは珍しくない。   いってらっしゃーい、と送り出したあと、いつもより早く起きたママが、「新しくできたカフェに行こう」とユイちゃん連れて行ってみたら、パパが知らない女の人と、知らない女の子と一緒にいた。 「ちょっと、あれ」  興奮したユイちゃんがパパのいるテーブルを見てママを振り返ると、ママは青い顔をしてそっちを睨んでいた。  それを見て、仕事の付き合いとか、同僚や友人の家族と会っているとかではない、とユイちゃんも悟った。 「ママ⁉」  黙って向こうを見つめていたママは、「あたし、ここにいるわ。ユイは帰っていいわよ」と低い声で言ったけれど、メニューを持つ手が震えているのを見て、ユイちゃんは一緒にいることにした。  アイスコーヒーのグラスに付いた水滴がひとつふたつとつながり、音もなく落ちていく。こちらに背を向けた昌行さんは、ユイちゃんやママと一緒の時と同じように食事をしているように見えたが、いつも以上に伸びた背中で若干緊張しているのが分かった。  家に帰ってからママはぼんやりして、お店の準備をする時間になっても腰を上げない。代わりにユイちゃんが一階にある居酒屋に行き掃除を始めると、階段を下りてくる足音が聞こえた。 「かして」  雑巾を受け取ったママは、放心している顔のまま宙を見つめて大丈夫、とつぶやいた。 「パパには今日見たことは内緒にしておくのよ」 「ママ知ってたの?」  返事はなかった。     目撃された日はこんな状況だったらしい。 話を聞いて私はすごく困った顔をしていたと思う。 「……それで?」  冷たいかもしれないけれど、それしか答えられない。 「遠くに行ったのなら諦めがついたかもしれないけど、こんな近くにいるなんて……」 「それは、昌行さんの事? それとも私や母の事?」  警戒して慎重に聞いた。私と母の事ならヤバい事になるかもしれない。 「……パパ」  ホッとした。昌行さんが好きなんだ。よっぽど。 「つまり、会いたいんだね?」  ユイちゃんはうなずいた。  私はちょっと考えた。勝手なことはできないし、何か大事になっても困る。こういう時は未成年の特権。親に頼る。  私は席を離れ、電話をかけた。LINEだとすぐ読んでくれないかもしれないから確実に今つかまる方にした。  妙な事態になっていることをかいつまんで話すと電話の向こうでふー、とため息をついて、 「つれてきなさいよ」  といつものけだるい口調で言った。 「いいの?」 「どうせ、誰も他の人に言わないでしょ。週末に呼べば?」  ユイちゃんはちょっとびっくりして、喜んでいた。そして、お店の手伝いがあるからと言って帰っていった。  母が言った「他の人」とは、ユイちゃんのママのことだろうか。  約束の時間に瀬野駅に行くとユイちゃんは先に来て待っていた。 ベレー帽から伸びる明るい色の前髪から満面の笑みがのぞき、こちらに手を振る。ゆるめのシャツにミニスカートの、女の子らしいかわいい服がよく似合う。  ワイドデニムに通学にも履いているミントグリーンのナイキで小走りに近づくと、「かっこいいー」と言ってくれた。 「キャップどこの?」 「んーちょっとわかんない」  母と共用の浅めのキャップは、去年買ってもらった。ユイちゃんの服は丸ごとユイちゃんのもの、という感じで、どう見てもママと共有はしなさそうだ。 「ちょっと、そこのパティスリー寄っていい? おみやげを買いたいの」  駅のロータリーを過ぎたすぐ向かいに、最近できたきれいな建物がある。二人で歩いているときにちょっと気になったことを聞いた。 「ママには今日のこと言ってる?」 「友達と会うって言ってきた」  やっぱり内緒か、そりゃそうか。 「お店の手伝いがあるから、三時には帰るね」 「いつも手伝ってるの?」 「うん、私が後を継ぐから」 「すごい、もう将来決めてんだ」 「子供の頃から、仕事っていうとずっとそればっかり見てきたから。ほかのがイメージできないの。手伝ってるから慣れてるし」  なんか、もう地に足がついている感じだ。同い年なのに、私の目標はとりあえず二年後で、その先はさらに何をするのかまだ考えていない。仕事をして生活するまで何年かかり、その時一体何をしているんだろう。  新しいパティスリーの窓側には日よけのシェードが濃い影を落とし、真っ白な壁との強いコントラストがまぶしくて南欧のリゾートみたいな雰囲気を出している。  店の中には数人の客がショーケースの前で、小さくて色とりどりのケーキを選んでいる。  ユイちゃんは慣れた感じでケースをのぞき込むとプリンタルトを四個選び、きれいな箱にかわいいリボンをつけてもらうと、カメリアの型押しをしたエナメル風のピンクの長財布からお札を出しお会計をした。  店を出ると私は、 「ごめん、気を遣わせちゃって」  と間抜けな挨拶をした。 「平気~、ここのプリンタルトっておいしいよね!」  ユイちゃんはつとめて明るく振る舞っている感じがする。  彼女がわりとお金を持っていて、高いパティスリーのケーキを食べなれていること、それと比べるとうちがさほど裕福ではなく、普段から贅沢をしない家庭だということを、今までもなんとなく感じてはいたけれど、服の事も含めてはっきりと思い知らされた気がする。  比較は無意味かもしれないけれど、気づいてしまった今はただショックで、私はあまりしゃべらなくなってしまった。ユイちゃんは雰囲気を読んだのか、寄り添うように沈黙していた。  うちに入ると、エプロン姿の昌行さんが玄関で待っていた。 「おかえり……!」  押さえてはいるけれど、今までこんな顔をしているのを見たことがないっていうくらい、ものすごくうれしそうだった。ユイちゃんも最高の笑顔で、こんにちは、と言った。数秒後に抱き合わんばかりに盛り上がっているところへ、 「いらっしゃい」と母が現れ、消火したようにくるりと空気が変わると、昌行さんもユイちゃんも一瞬にしてよそ行きの顔になった。 「おじゃまします。これ、よかったらどうぞ」  にっこりとおみやげを差し出すと、皆でキッチンに向かった。 「来てもらっていきなりだけど、もうお昼だし、食べて行ってね」  母がリビングにバッグを置くよう促し、私たちは手を洗いに洗面に行った。 「お母さん、きれいだねえ」  ユイちゃんがソープを泡立てながら言う。さっきも服をほめてくれたけれど、お返しに褒めるとわざとらしくなるからなんとなくできない。先に褒めるのっていわゆる社交の先制攻撃で、ユイちゃんはそれが上手だ。  状況を考えると母について話すのは気が重い。たとえお世辞のお礼だとしても。 「そっかな~」  と適当に、でも普通に答えた。                                    
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