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道徳の授業。
深刻な病気を患い、幼くして亡くなった少年の話。
先生は、少年の話を音読しながら必死に涙を堪えている。
それはきっと、同情の涙だろう。
「まだまだ未来があったのに若くして、亡くなってしまった。可哀想に。」
というような。
そんなとき、先生は生徒にこう言ったのだ。
「この子は、生きたくても生きられませんでした。だから、この子が生きられなかった今日を、あなた達は一生懸命生きなさい。」と。
私は、その発言に強い憤りを感じた。
それは、生きている人たちのエゴでしかないと思うのだ。
もちろん、この子が今日を生きられなかったのは、紛れもない事実であり、受け入れ難い悲しみだと思う。
しかし、同時に思うのだ。
『先生は、今日を生きること、息をすることが苦しかったことはないのだろうか。』と。
生きている人は美しくて、亡くなってしまった人は、生きることが出来なかった悲しい人。
そんなことを本気で思っているのだろうか。
私は、そんなこと一度も思ったことがない。
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