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過去
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そもそも、高校2年生の頃から2人は付き合っていた。同じ大学へ進学し、付き合いは続いていたから、誰もが結婚するものだと思っていた。
しかし、就職の時、謙は都内の大手企業で働くことが決まり、杏は、地元の和歌山で働くことになった。
それでも、遠距離恋愛がずっと続くと思っていた。
なのに、次第に忙しくなる2人。生活リズムが変わり会えない日々が続き、すれ違ってしまい、ついに別れることに……
そして、杏は25歳で、謙は27歳でそれぞれ別々の人と結婚をした。田舎だから噂では聞いていた。しかし、直接連絡を取ることもなく時間が過ぎた。
29歳の時、杏は、女友達の結婚式に出席することになった。
すると、まさか、そこには、謙が居た!
「え?」
「え? どうして?」
偶然、杏の友達の結婚相手と謙は、仕事関係での知り合いだったのだ。
「こんな偶然ってあるのね?」
「ホントに驚いた。元気だったか?」と、杏の左手薬指の指輪を確認する謙。
「うん、謙は?」
同じく謙の指輪を確認するが、指輪は見当たらない。まあ、嵌めない人も居るからあてにはならない。
「和歌山の実家に帰れば、田舎だから噂は聞いてるでしよ?」
「うん、結婚したんだよな?」
「うん。謙もだよね?」
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