私を終わらせて

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「お集まりのようね」  凛とした声に、僕達の視線が集まる。いつの間にいたのか、一人の女の子が立っていた。  腰まで届きそうな長い髪に、涼し気な一重の瞳。紺地に薄紅色のラインが入ったブレザーも、全てに見覚えがあった。 「榊……詩織?」  誰かが、つぶやくようにその名を呼ぶ。  そうだ。間違いない。  彼女は僕達がよく知る榊詩織だ。  でもだからこそ、信じられなかった。   僕達は高校を卒業してもう十年が経つ。彼女だけが当時のままの姿であり続けるはずはない。  さらに言うならば……詩織は高校三年の冬、卒業直前に自ら命を絶ったはずなのだ。  早朝の誰もいない時間帯に、自分達の教室のベランダから首を吊る、という方法で。 「ど、どういう事?」 「ちょっと待って! 誰の仕業なの? 悪戯にしては度が過ぎるわ!」  動揺とともに、怒りとも恐怖ともつかぬ感情がほとばしる。そんな恐慌状態に陥る僕らを見て、詩織は微笑んだ。 「悪戯……そうね。あなた達が私にした事に比べたら、このぐらいで驚かれても困るんだけど」
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