私を終わらせて

3/14
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「おい、榊……いや、お前本当に、榊なのか?」  進み出たのは、元担任の徹先生だった。 「嘘だろう? いったいなんの冗談なんだ。誰がこんな事を……」 「私は榊詩織ですよ、徹先生。先生が見殺しにした……いえ、むしろイジメを利用して、関係を迫ろうとした榊詩織です」 「き、貴様何をっ!」 「言わせたいんですか? イジメで困っているって相談しにきた私に、心配するフリをして体を触ったり、部屋に連れ込もうとした事。一度断ったら、それっきり無視しましたよね? あっ、ケータイにメールも残ってますよ。先生からの、しつこいお誘いのメール」 「や、やめろっ!」  ポケットから取り出したケータイに、徹先生が飛びつこうとする。 「その気色悪い顔を近づけないで!」  詩織が拒絶するように右手を突き出した。  その刹那――  ボンッ!  と音がして、周囲が紅色に染まった。  まるでゴム風船が割れるように、徹先生の頭部が破裂したのだ。 「い、いやぁぁぁっ!」 「うわぁぁぁぁーーっ!」  床に転がった首無し死体と、全身に浴びた血しぶきに悲鳴が上がる。  平気な顔をしているのは、榊詩織一人のみだ。 「さぁ……そろそろ信じてもらえるでしょう? 私はあなたたちの同級生だった、榊詩織本人だって。今日集まってもらったのも、見ての通り。あなた達に、復讐をするためよ」  ゆっくりと、詩織の視線が僕達の間をはい回る。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!