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「おい、榊……いや、お前本当に、榊なのか?」
進み出たのは、元担任の徹先生だった。
「嘘だろう? いったいなんの冗談なんだ。誰がこんな事を……」
「私は榊詩織ですよ、徹先生。先生が見殺しにした……いえ、むしろイジメを利用して、関係を迫ろうとした榊詩織です」
「き、貴様何をっ!」
「言わせたいんですか? イジメで困っているって相談しにきた私に、心配するフリをして体を触ったり、部屋に連れ込もうとした事。一度断ったら、それっきり無視しましたよね? あっ、ケータイにメールも残ってますよ。先生からの、しつこいお誘いのメール」
「や、やめろっ!」
ポケットから取り出したケータイに、徹先生が飛びつこうとする。
「その気色悪い顔を近づけないで!」
詩織が拒絶するように右手を突き出した。
その刹那――
ボンッ!
と音がして、周囲が紅色に染まった。
まるでゴム風船が割れるように、徹先生の頭部が破裂したのだ。
「い、いやぁぁぁっ!」
「うわぁぁぁぁーーっ!」
床に転がった首無し死体と、全身に浴びた血しぶきに悲鳴が上がる。
平気な顔をしているのは、榊詩織一人のみだ。
「さぁ……そろそろ信じてもらえるでしょう? 私はあなたたちの同級生だった、榊詩織本人だって。今日集まってもらったのも、見ての通り。あなた達に、復讐をするためよ」
ゆっくりと、詩織の視線が僕達の間をはい回る。
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