新入り刑事

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新入り刑事

  1  ムイムイは空を飛んでいた。もちろん夜中である。  サガオは体力が消耗するので、ムイムイと一緒には飛ばない。泥棒をするときに必要に応じてのみである。今は自宅でテレビを観ているか寝ているかどちらかである。    悪党は夜に活動するものなので、空から地上を見れば、あやしいのが目立ってしまうのだ。    一台の車がムイムイの目に入った。色は真っ赤な自家用車だ。どこにでもあるのだが、やけにスピードを出している。それに車がジグザク走行している。対向車が来たら事故になりかねない。 59eac0b9-9732-4658-b92f-c9dcf94367e2 ムイムイの勘が働いた。本当にあやしいかどうかを確かめるために追った。    車は住宅街に行った。豪邸が立ち並ぶが、それぞれの家は個性があるので、見分けやすい。    車は一軒の豪邸に入って行った。    ムイムイは地上に降りて、表札を観た。『高尾貴雄(たかお たかお)』と、書いてあった
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